工業化学雑誌
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N-ベンジルおよびN-シクロヘキシルn-ドデシルアミンによるトリウムと希土類元素の分離
八木 一郎
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1961 年 64 巻 5 号 p. 878-881

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抄録

N-ベンジルn-ドデシルアミン(B.D.A.)および N-シクロヘキシル n-ドデシルアミン(C.D.A.)による0.03~7.ONの硫酸溶液中のトリウムと希土類元素(144Ce-144Pr,91Y)の分離について検討を行なった。
B.D.AおよびC.D.A.がトリウムの抽出に好都合な性質があることは,1個のN-ベンジルあるいはN-シクロヘキシル基を有する,2級,3級のあわせて11種類のアルキルアミンの予備実験の結果からくることができた。トリウムを抽出する場合の最適の硫酸濃度はC.D.A.の場合約0.1N,B,D.Aの場合約0.1~1.ONであり,希釈剤としてはいずれも,ベンぜンが最も望ましかった。アミン1ml当りのトリウム吸着量は,0.1N硫酸溶液の場合に,B.D.A.では約150mg,C.D.A.では約130mg(いずれも酸化物換算)であった。
硫酸アンモニウムが少量存在することは影響がみられなかったが,約0.1mol/lの濃度を越えるとトリウムの抽出率はやや減少する傾向がみられた。
B.D.A.は有機相のトリウム濃度が低いところではやや多くの希土類元素を抽出する傾向があるが,抽出段階で有機相をトリウムで飽和させることにより, 希土類元素の汚染をさけられることを知った。C.D.A.はB.D.A.よりも高い除染係数がえられた。

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