工業化学雑誌
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ビニルスルホン酸の合成と反応性比および共重合物の染色性
国近 三吾片桐 孝夫
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1961 年 64 巻 5 号 p. 929-932

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抄録

ビニルスルホン酸(VS)の各種の合成方法について,比較検討した。その結果,ビニルスルホン酸の合成は,工業的にはエタノール(またはエチレン)と無水硫酸とを反応させて,エチオン酸(またはカルビルサルフェート)をつくり,これをカセイソーダで分解して得る方法がよいと考えられるが,実験室的にはエチレンジブロミドと亜硫酸ソーダとから,Streckerの反応により,エチレンジスルホン酸ソーダをつくり,これを塩素化し,ついで加水分解して得る方法がよいことを知った。つぎに,アクリロニトリル(AN)との共重合物をつくり,その反応性比を求めたところ,r1=1.5(AN),r2=0.15(VS)を得,これからVSのQ,e値としてQ=0.09,e=+1.3なる値を得た。この結果は反応性において,ビニルスルホン酸ソーダよりも低いことを示している。アクリロニトリルとの共重合物について,染色性をしらべたところ,陽イオン染料に対する染色性は,予想どおり非常に良好であることを認めた。

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