抄録
ビニロンの染色性を改良するため,まずマンニッヒ反応によるアミノアルデヒドの合成条件について検討し,つぎにえられたアミノピバルデヒド類による熱処理ポリビニルアルコール繊維のアセタール化,ポリビニルアルコールのこれらのアルデヒドによるアミノアセタール化物とポリビニルアルコールとの混合紡糸および熱処理,ならびにこれらの繊維のホルマール化を行なった結果,ほぼ満足すべき動物質化ビニロンをうることができた。イソブチルアルデヒドからのアミノピバルデヒド類の合成は遊離のアミンを用いた場合高級であるほど収率が高い。第3級アミノピバルデヒドが合成容易でまた安定である。低級アミンではジエチルアミンの場合は遊離のアミンを用いた方がその塩を用いるよりも,逆にジメチルアミンの場合はその塩を用いた方が収率が高い。アミノピバルデヒド類はβ-アミノブチルアルデヒド類よりアセタール化の反応性がいくぶん劣っているが反応液の着色がなく,これらの傾向はアミノピバルデヒド類ではα-位の水素がすべてアルキル基で置換されていることによると考えられる。