1962 年 65 巻 10 号 p. 1598-1602
純ブドウ糖,デンプン加水分解物につき,濃度範囲30~80%の水蒸気圧を測定し,Raoult法則の適合範囲が加水分解率に関せずおよそ50%以下であること,デンプン糖溶液の真空濃縮時の蒸発熱として10.4kcal/molを用いうることを示し,また,デンプン糖液の噴霧乾燥の難易および噴霧乾燥製品の吸湿性の大小の加水分解度による影響を理論的に明らかにした。つぎに,上記の測定結果を応用して含水ブドウ糖の解離圧を30~60℃の範囲で計算し,それより得られた解離熱13.04kcal/molが文献上の熱データよりの値とよく一致することを示した。また,これらの理論的結果を含水ブドウ糖の脱水および無水ブドウ糖の吸湿蒸気圧の実測値と比較して,含水-無水再結晶間の転移には中間過程として溶液が形成されることを推定した。この推定に基づき,いろいろな大気の条件下における両結晶の安定な範囲を図示した。
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