工業化学雑誌
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65 巻, 10 号
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  • 三山 創
    1962 年65 巻10 号 p. 1497-1499
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    著者は先に初圧60mmHgのC2H2+H2+2O2の爆発性気体の爆轟波中のOH基の吸収スペクトルを撮影解析して,OH基の回転温度および絶対濃度を測定し,爆発論に基づいた理論値との比較を行なったが,本報では,初圧120mmHg,180mmHgにおいて同様の測定を行ない,スペクトル線に対する圧力効果をしらべた。スペクトル解析の結果求めたOH基の回転温度は振動回転相互作用を考慮に入れれば理論気体温度とよく一致する。またスペクトル線強度より成長曲線法を用いてOH基あ絶対濃度を計算する場合に,DyneのF値を用い,初圧120mmHgに対してはa=1.0を,また初圧180mmHgに対してはa=1.5を用いればOH基濃度の理論値と実験値の間のよい一致が得られることがわかった。
  • 佐藤 正雄
    1962 年65 巻10 号 p. 1499-1501
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    マライ産ゼノタイムを試料として用い,硫酸によって分解するときの最適条件を求めることを目的とし,微粉砕試料について硫酸量,硫酸濃,処理温度,処理時間などと希土類元素の抽出率との関係について検討した。
    小規模な実験において,微粉砕試料ではつきのような条件でほとんど完全に分解する。(1)試料:硫酸1:2.0,(2)硫酸濃度95%,(3)処理温度250℃,(4)処理時間30分。
    ゼノタイム試料についてはX線分析によっても検討した。
  • 鈴木 伸, 石田 鉄正
    1962 年65 巻10 号 p. 1502-1505
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    写真用添加剤のハロゲン化銀に対する作用機構を明らかにするため,尿素,チオ尿素,チオセミカルバジド,p-サクシノイルアミノベンズアルデヒド3-チオセミカルバゾン,グアニジン,ベンザルアセトングアニルヒドラゾン,およびヒドラジンを臭化銀に対するモル比0~3.75×10-2の範囲で変えて,添加した臭化銀ゾルの安定性を調べた。pHは3と11の二つの場合について行なった。その結果,尿素,グアニジン添加は顕著な変化を認めず,チオ尿素,チオセミカルバジド,p-サクシノイルアミノベンズアルデヒド3-チオセミカルバゾン添加は,酸性で不安定化し,アルカリ性では安定性は変わらないが色変化のみが観測された。ベンザルアセトングアニルヒドラゾン添加は,酸性,アルカリ性とも,わずかの変化が見られ,ヒドラジンは酸性で影響なく,アルカリ性で色変化のみ認めた。これらを臭化銀粒子界面の添加剤吸着または反応による荷電中和機構の立場から論じた。
  • 中根 正典, 大角 泰章, 石井 英一, 三宅 義造
    1962 年65 巻10 号 p. 1506-1509
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    高純度金属ヒ素を得る目的で,その中間体である塩化ヒ素(III)の各精製操作における微量イオウの挙動について,35Sをトレーサーとして用い検討した。
    亜ヒ酸の昇華による精製ではイオウの除去率はほぼ98%と良好な精製効果のあることがわかった。加水分解操作においては,沈殿する亜ヒ酸の最初の5%中に,共存するイオウの約50%が共沈する。塩化ヒ素(III)を各種吸着剤で処理する操作では,活性炭の陣用が比較的よくイオウの除去率は60%程度であった。塩化ヒ素(III)の塩酸溶液の蒸留においては, イオウの分離に満足すべき結果は得られなかったが, 活性炭を充填した精留管を用いて蒸留した場合, イオウの除去率は99.6%と最も良好な結果が得られた。
    以上の結果から,イオウを除去する最良の方法は,一度昇華精製した亜ヒ酸を塩酸に溶解し,この塩化ヒ素(III)の塩酸溶液を活性炭を充填した精留管を用いて蒸留することであり,この操作を行なうことにより共存するイオウを約1万分の1程度に減少させることが可能である。各精製操作における精製効果を前報のアンチモン・セレンと共にイオウについて図示した。
  • 小南 直也, 柴田 観, 峯川 三郎
    1962 年65 巻10 号 p. 1510-1513
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    Distillers.Co.の方法によるアクロレイン合成反応においては,原料ガス中のプロピレン濃度2%以下では好単流収率でアクロレインがえられるが, プロピレン濃度がこれ以上になると, アクロレイン単流収率は極端に低下する。そのために,生成ガス中のアクロレイン濃度はいちじるしく小さい。この欠陥がなにに起因するかを究明するために,まず反応条件の影響を検討した。その主な結果を,縦軸にアクロレイン単流収率,横軸に原料ガス中の酸素・プロピレン・モル比をとって表わすと,アクロレイン単流収率がモル比の増加とともに原点から直線的に増加する高濃度領域と,モル比の増加にほとんど無関係にほぼ一定となる低濃度領域とにわけられ,これら両領域の境目となる収率折点の位置はモル比によってきまる。空気のかわりに酸素を使用した場合,好単流収率で,従来法の約4倍の濃度のアクロレイン合成ができた。
  • 小南 直也
    1962 年65 巻10 号 p. 1514-1516
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酸化銅触媒を使用し, プロピレンを接触酸化してアクロレインを合成する場合, 反応中ごく微量のセレンを供給していくとアクロレインが好収率で得られるが, このセレンがどのような役割をはたしているかについては, まだわかっていない。そこで本研究はこのセレンの役割について検討を行なった。
    その結果, a)プロピレンと二酸化セレンの反応でアクロレインが好収率に生成される。このとき空気共存においても空気中の酸素はアクロレイン生成には関与しない。b)本反応において低濃度領域で反応後の触媒表面は一部銅セレナイトでおおわれている。以上のことが確認され, これらのことから本反応におけるセレンの役割はつぎのようになるものと推定される。すなわち, 触媒層中に送入されたセレンは二酸化セレンとなり, これが酸化銅と結合して銅セレナイトをつくり, これの分解圧により一部遊離された二酸化セレンまたは銅セレナイトとプロピレンとが反応してアクロレインをつくるのである。
  • 小南 直也
    1962 年65 巻10 号 p. 1517-1519
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    セレン・酸化銅触媒( 酸化銅触媒に原料ガスとともに微量のセレン蒸気を送入する) を使用し, プロピレンを接触酸化してアクロレインを合成する反応において,酸化銅のはたす役割,さらに,これとセレンの役割との関係について検討した。その結果,本反応におけるセレンおよび酸化銅の役割はつきのようになる。すなわち,触媒層中に送入されたセレンは,酸化銅触媒の表面でセレンと酸化銅との反応により二酸化セレンに酸化される。一方,酸化銅は酸化銅(I)に還元されるが,これはガス中の酸素により酸化されてふたたび酸化銅(II)にもどる。二酸化セレンの一部は反応系外にでるが他は酸化銅(II)と結合して銅セレナイトをつくる。プロピレンは触媒表面に化学吸着した二酸化セレン,あるいは銅セレナイトとその表面で反応してアクロレインとなる。二酸化セレンあるいは銅セレナイトの還元によって, できるセレンはふたたび以上のサイクルをくりかえして,アクロレインを合成するものと考えられる。
  • 小南 直也
    1962 年65 巻10 号 p. 1520-1522
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アクロレイン合成反応において, 触媒中の二酸化セレン濃度の増加が収率折点の位置にどのような影響をおよぼすかをしらべた。まず供給セレン量を増加させると収率折点はプロピレン高濃度側に移動する。また, あらかじめ触媒中に銅セレナイトの形で二酸化セレンを多量にふくむ中間装置使用触媒や, 二酸化セレン添加触媒では, 供給セレン量がすくなくても, 収率折点はプロピレン高濃度側に移動し, 短時間の実験(9時間連続反応) ではあるが, アクロレイン高濃度合成が可能である。また反応中の触媒形態をしらべた結果,低濃度領域ではプロピレンと触媒表面に化学吸着された二酸化セレン, あるいは銅セレナイトとの反応過が律速であり, 高濃度領域では酸化銅(II)の生成過程をもふくめた広義の二酸化セレン生成過程が律速であると考えられる。
  • 小南 直也
    1962 年65 巻10 号 p. 1522-1524
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アクロレイン合成反応においては,反応中微量のセレンを連続的に供給する必要がある。この意義を検討した。二酸化セレン添加触媒にセレンを供給しないでプロピレンの接触酸化を行なわせていった場合, 触媒表面のセレンおよび二酸化セレンが脱着して,その結果,表面の二酸化セレン濃度が減少し,アクロレイン生成率が低下してくる。セレンを供給するときのアクロレイン生成率はこの場合の初期生成率である。これがセレンを反応層中におくりつづけることの意義である。また普通の積分反応は触媒表面組成が非定常状態のそれであって, 長期間の連続運転に対応するものではない。定常および非定常状態について検討した結果,前報にのべたような中間装置使用触媒や,二酸化セレン添加触媒によるアクロレイン高濃度合成法は長時間後にはアクロレイン単流収率は非常に低下してくるものであり,永久的にアクロレイン高濃度合成を行なわせるためには,セレン供給量をませばよいことがわかった。
  • 小南 直也
    1962 年65 巻10 号 p. 1525-1528
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    第2,3,5報において,アクロレインの生成は触媒表面が酸化還元サイクルをくり返すことによって行なわれると推定された。したがって,プロピレンの接触酸化反応において,アクロヒインが主生成物としてえられるためには,触媒を還元するものは主としてプロピレンでなければならない。しかし,アクロレインのようなアルデヒド類は一般に還元性が強いとされている。そこで触媒の還元機構をしらべた。その結果,アクロレイン合成反応中における触媒の還元機構は,低濃度領域では触媒はわずかに還元された状態で存在しているが,この還元はプロピレンによるものであり,触媒が酸化還元いずれの状態で存在するかは,反応ガス中の酸素・プロピレンモル比によってきまる。一方,高濃度領域では,触媒を還元するものは,プロピレンだけでなく,アクロレインも寄与する。しかし,触媒に対する還元能力はプロピレンの方がアクロレインよりはるかに大きい。これらの結果は上述の推定を支持する。
  • 小南 直也
    1962 年65 巻10 号 p. 1528-1530
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    セレン・酸化銅触媒を使用し,プロピレンを直接酸化してアクロレインを合成する反応において,副生成物は主として炭酸ガスと水である。この炭酸ガスがどのような機構で生成するかを検討した。その結果,低濃度領域ではプロピレンからアクロレインおよび水が生成する反応と,アセトアルデヒドおよびホルムアルデヒドが生成する反応とが併発的におこり,アセトアルデヒドおよびホルムアルデヒドは,これらの生成速度よりも速い反応速度で酸化分解されて炭酸ガスおよび水を生成する。アクロレインが酸化分解して生成する炭酸ガスはない。ただし以上の結論は反応温度315℃付近,空間速度600l/catl.hr以上で成立し,これ以下の空間速度では,アクロレインの酸化分解による炭酸ガスの生成もふくまれる。一方,高濃度領域では以上の反応条件内においても,炭酸ガスの生成は,アセトアルデヒドおよびホルムアルデヒド経由の併発反応によるものと, アクロレインの逐次酸化分解によるものとの両方がふくまれる。
  • 小南 直也
    1962 年65 巻10 号 p. 1531-1533
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アクロレイン高濃度合成を行なうには,収率折点をプロピレン高濃度側に移動させることが必要である。本報告では,収率折点を移動させる諸要件を総括し,これら諸要件の原因について検討した。収率折点をプロピレン高濃度側に移動させるものとしてはつぎの4要件がある。すなわち,(a)空間速度の小さいほど,(b)定常状態では供給セレン量の大きいほど,(c)原料ガス中の酸素濃度の大きいほど,(d)非定常状態では反応経過時間の永いほど,また同一反応時間ならば触媒層の短かいほど収率折点が高濃度側にうつる。そして,これら4要件の原因となるものは,いずれも触媒表面における二酸化セレン,あるいは銅セレナイトの生成速度を速めるか,またはこれらの濃度を増加させることである。また別に,アクロレイン合成反応における炭酸ガスの生成に関して検討し,低濃度領域では反応(ii)が律速であり,高濃度領域では反応(i)が律速であると推定される。
    Cu2O+1/2O2→2CuO(i) 18CuO+3C3H6→3CO2+3H2O+9Cu2O(ii)
  • 金塚 文哉, 浦田 能清
    1962 年65 巻10 号 p. 1534-1537
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    鉄含有率の異なる種々の鉄・亜鉛合金をつくり,これをシクロヘキサノールの接触的脱水素に触媒として用いシクロヘキサノンの合成を試みた。その結果,合金としては鉄含有率が7.3~11.0%の組成範囲からなる網目状結晶構造(δ1-相)をもったものが脱水素の触媒として有効であった。しかし鉄含有率が10%以下の合金はもろさがあり,またδ1-相より鉄含有率の多い合金は次第に硬さを増して緻密となる。したがって鉄含有率が10%以下,11%以上では合金の脱水素能力は低下する。たとえば鉄含有率が5.34,8.67,10.54,12.60および14.80%のそれぞれからなる鉄・亜鉛合金触媒にシクロヘキサノールを液空間速度0.5,温度410~420℃のもとで通過させた結果,反応留出液中のシクロヘキサノンの含有率は60.4・84.0,92.6,71.6および65.4%であった。これらの結果より約10%の鉄含有率からなる鉄・亜鉛合金が脱水素の触媒としてその活性度が最も大きいことがわかった。つきに触媒の寿命を検討するため鉄含有率10.4%の合金触媒(30g)に合金の約300倍量のシクロヘキサノールを液空間速度0.5,温度410~420℃の条件下で反応させたところ,ほとんど触媒の活性度は低下しなかった。
  • 国府 三郎
    1962 年65 巻10 号 p. 1537-1541
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    炭化水素熱分解アセチレン製造反応の生成ガスより, アセチレン, エチレンをはじめ, 多種の低濃度成分を分離するための,各種溶剤への溶解平衡測定を行なった。そのうち,エチレン,プロピレン,アリレン,1,3-ブタジエンのn-オクタン, メタノール, 液体アンモニア中への溶解の各ヘンリー定数について, 温度, 分圧による変化を報告した。溶剤の極性とガスの溶解度との関係を検討した結果,極性の弱いオクタンでは,ガスのカーボン数の多い方が,一方,極性の強い液体アンモニアでは, ガスの不飽和度が高い方が大きい溶解度を示すことを知った。
  • 河野 和夫, 尾頃 肇, 稲葉 哲雄
    1962 年65 巻10 号 p. 1543-1547
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    合成用ガスの脱硫に関する基礎的な研究の一環として,脱硫に及ぼすO2の影響をCS2,C4H4Sの除去について研究した。
    H2に少量のO2とCS2,C4H4Sを混合した試料ガスを,Fe,Ni,Co,Cu,Mn,Cd,Cr,Al,Mg,V,Moの酸化物をケイソウ土に保たせた脱硫剤上に通じ,温度250,400℃,ガス空間速度1200で脱硫を行ない,O2を含まない場合の結果と比較した。
    ガス中に共存するO2は,脱硫剤の固定能に対しては,残イオウ率を増加し,固定容量を減少させ,イオウの漏出点を早めるなど,悪い影響を与え,またMoとVを除く脱硫剤のH2S転化能に対しては,その活性に直接影響して転化率を極度に低下させた。
    しかし,これらの影響はO2を消費する反応が併起された場合にはかなり緩和された。例外的なMoとVは,C4H4Sに対し,Moは転化率を上昇し,またVは接触酸化によってその90%以上をSO2へ分解した。
  • 長谷川 俊勝
    1962 年65 巻10 号 p. 1547-1549
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報において,フルフラール水溶液からフルフラールを抽出するのに,TBPが良好な溶媒であることを報告した。そこで,つきにTBPによる有機酸の抽出を試みた。
    まず,TBP-水-酢酸の3成分系における平衡組成を求め,さらに有機酸の分配率および有機酸とフルフラールが共存した場合の分配率の変化を求めた。
    分配率の値を示すと酢酸(1.96),ギ酸(2.34),シュウ酸水素ナトリウム(0.32)であり,フルフラールのそれ,(7.36)にくらべて, はるかに少ないが, これらが共存した場合にはフルフラールに富むような組成で抽出しうるということを示す。
    また,酢酸およびギ酸を一部中和しても,なお抽出平衡がなりたつ。
    シュウ酸の抽出に関しては
    〓あるいは〓
    のような平衡関係がなりたっていると考えられる。
  • 村長 潔, 岩谷 和彦
    1962 年65 巻10 号 p. 1550-1554
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    すでに報告した一連の炭素析出の研究において,ガスクロマトグラフにより,反応物質および反応生成物組成を分析した。装置は島津GC-1A型を使用し,標準ガスによって検量線を作成し,気-固クロマトグラフィーによる絶対検量線方式で精度よく分析することができた。
    天然ガスには活性炭,活性アルミナ,DOPのカラムを,メタン-水蒸気反応生成ガス,微量メタンには活性炭のカラムを,微量一酸化炭素ではモレキュラーシーブ5Aのカラムをそれぞれ単独使用または併用し,試料ガス採取には特殊な容器を使用した。キャリヤーガスは水素を用い,試料導入にはシリンジによる液体注入法を採用した。
    以上の操作により,メタンでは70ppm,一酸化炭素では20~30ppmまで測定することができた。反応生成物およびエタン,プロパン等の分析値は質量分析結果とよく一致し,また平衡組成値と比較しても合理的であった。
  • 船久保 英一, 永井 利一
    1962 年65 巻10 号 p. 1554-1559
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アントラセンケーキからアントラセンとカルパゾールとをクロマトグラフィーによって能率的に分離精製するための操作条件を既報の分別理論式を用いて決定し,次に,それに基づいてクマトグラフ分別装置を設定した。
    アントラセンケーキのクロマトグラムは予備実験によって,強吸着性の樹脂状成分(成長率Rg=0.04,これをH群と称す),カルバゾールを主成分とするC群(Rg=0.14)およびアントラセンを主成分とするA群(Rg=0.7)の3種に大別し得ることを認めた。一方,アントラセンケーキ中に含まれている化合物の吸着等温式を測定してRg値を算出し,上記3種の群のどれに濃縮されるかを検討した。
    A群とC群との分別に要する吸着剤量は,C群とH群との分別に要する吸着剤量の約3倍を要することを理論的に算出し,これを基礎として,H群を吸着捕捉するための前処理塔φ6cm×50cm1基と,A群とC群とを吸着分別するための吸着分離塔φ3cm×160cm 2基とを並列に配列するクロマトグラフ分別装置を考案した。
  • 船久保 英一, 永井 利一, 吉田 英雄, 友田 敏之
    1962 年65 巻10 号 p. 1560-1564
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    その1に記載したクロマトグラフ分別装置によりアントラセンケーキから主としてアントラセンとカルバゾールとを分離する実験を2サイクル行ない,得られた分離成績と理論値とを比較して理論分別式の妥当性を確認した。
    15g/lの試料11.45lがW750gの前処理塔1基とW700gの吸着分離塔2基を用いて,H,C,Aの3群に大別される。各群から得られた結晶については,それぞれ,アントラセン定量,N,S,キノン,カルバゾール等の定性試験,混融試験,UVスペクトル分析等を行なった。
    その結果,アントラセン含有量は原試料当り,第1サイクル分46.8%(第2サイクル分47.5%)で,その97.9(98.9)%がA群に濃縮される。かつ,その73.1(75.8)%が96(94)%以上の高純度で回収され,80%純度以上のものがほとんどである。カルバゾール含有量は14.8(16.7)%で,A群中には全く混入せずC群中に93.2(94.6)%濃縮されるという良好な分離成績を示した。また,C群の第1次晶は,mp240℃近くに達しアントラセン含有率は1%以下である。その他,A群再結晶残留物よりフェナントレンを原料当り17.3%,クリセン2.1%,C群残留物およびH群よりベンズ[a]カルバゾール2.5%,H群よりベンゾ[b]カルバゾール0.8%を分離確認した。
  • 荒谷 孝昭, 古前 恒, 松浦 多聞
    1962 年65 巻10 号 p. 1565-1569
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    本研究は含酸素テルペン化合物および香料成分のガスクロマトグラフィー用固定相液体を見出す目的で行なった。6 種の化合物(フェニル酢酸エチル,サフロール,オイゲノール,α-イソメチルヨノン,サリチル酸アミル,安息香酸ヘキシル)およびヨノン類(α-,β-,pseudo-)を5種の固定相を用いて分析した。アスファルトおよびThermol-lを固定相液体とし,水晶粉末およびShimaliteBを担体として,キャリヤーガスにヘリウムを用い,180℃および200℃で行なった。各固定相の性能をJonesらの提案した式によって比較検討した。さらに上記混合物の各成分の定量を行なった結果,±1%の範囲内で理論値と一致した。
  • 寺田 博次, 津田 晋三, 庄野 唯衛
    1962 年65 巻10 号 p. 1569-1571
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    チモールの水素添加によって製造されるdl-メントールの純度検定のための分析方法を確立する目的で,dl-ネオメントール,dl-ネオイソメントール,dl-メントールおよびdl-イソメント-ルなどのメントール異性体のほかに,dl-メントンおよびdl-イソメントンを高純度に合成し,これを試料とし,カラム充填剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ABS)およびポリエチレングリコール#6000(PEG)を用いて,定性ならびに定量分析を検討した。
    ABSではメントールの4異性体はdl-ネオメントールとdl-ネオイソメントールがほとんど重なり,dl-メントールおよびdl-イソメンとールがそれぞれ単一のピークを示す。またPEGでは,dl-ネオイソメントールとdl-メントールが重なり,他の2異性体と計3個のピークを示すので,この両種のカラム充填剤を使用すると,メントール類の分析が可能である。
  • 渡辺 雄一
    1962 年65 巻10 号 p. 1572-1573
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    α-ピネンおよびp-メンタジエン類の硫酸水溶液による異性化反応の過程をガスクロマトグラフ分析により検討して次のような結果を得た。(1)α-ピネンは硫酸水溶液に対して不安定であり,異性化反応生成物中からテルピノーレン,ジべンテン,2,4(8)-p-メンタジエン,γ-テルピネン,α-テルピネン,3,8(9)-p-メンタジエン,p-シメンを確認した。(2)異性化反応速度定数kはα-ぴネン>テルピノーレン>ジペンテン≫2,4(8)-p-メンタジエン>γ-テルピネン>α-テルピネンの順であった。(3)異性化反応は一,ニの例外を除いてkの大きいものから小さいものへ進行した。
  • 藤田 英夫
    1962 年65 巻10 号 p. 1574-1578
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    高電圧下における電気絶縁油からのガスの発生または吸収量(x)は,電圧印加時間(t)とともに直線的であったり曲線的であって, 従来の文献には一致がみられない。本報はこの高電圧下での鉱油の反応性の性質を明らかにするために, ナフテン系およびパラフィン系の代表的な油入ケーブル油2種をそれぞれ種々の量の濃硫酸で処理して,芳香族性の異なる2群の油を試料とし,40kV/cm,30℃水素ガス雰囲気下でガス試験を行ない,その結果を反応速度論の見地から解析して,いずれの場合にも単位時間当りのガスの発生または吸収量が,dx/dt=B+Aexp(-kt)(A,B,kは定数)に従って変化することを見出した。
    更に油分子と水素ガス間の反応に当量関係を前提すれば, 速度定数B で表わされる零次反応と初期濃度がA に相当する1次反応とが同時に進行している反応であると考えられる。そしてBは基油の組成によって異なる定数であり,Aは各油のパラィン性と芳香族性に依存した函数RN(%CP-%CA)d/Mとよい直線相関にあることを見出した。
  • 桜井 洸, 岡本 能樹, 岡本 輝彦
    1962 年65 巻10 号 p. 1579-1582
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    マッコウ鯨油のロウ成分の利用を目的として, その不飽和ロウエステルおよびその構成成分であるオレイン酸, オレイルアルコールの各エステル, およびオレイルアルコールについて, その不飽和結合にジエチルホスファイトを過酸化べンゾイルをラジカル源として付加し,飽和ロウエステルには三塩化リンを酸素とともに作用させてホスホン酸誘導体を合成した。これらホスホン酸のナトリウム塩は化学繊維の静電気帯電防止剤として優れた特質を持っていた。不飽和結合にジエチルホスファイトを付加した生成物は,塩化ビニルとの相溶性もよく,その耐寒性の向上を特質とする可塑剤として用いられることを認めた。
  • 谷本 重夫, 京 加祐門, 小田 良平
    1962 年65 巻10 号 p. 1583-1588
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    メチレンビスアミドならびにその同類化合物とベンゼン,ニトロベンゼンを濃硫酸中で反応させると,つきのような交換連結反応が起ることを認めた。
    R1CONH-CH2-R2+ArH→R1CONH-CH2-Ar+R2H
    R1はC6H5-,またはフタリル基
    R2は-NHCOC6H5,-OC2H5または-SO3Na
    ArHはベンゼン,またはニトロベンゼン
    また,アセトンのジエチルケタールとジメチルアニリン,ビニルエーテル,エチレンオキシドを反応させて,一種の交換連結反応の起ることを認めた。
  • 飯田 弘忠, 桑原 仁太郎
    1962 年65 巻10 号 p. 1589-1593
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    染料廃水の脱色処理の基礎資料を得るのが目的で,塩化鉄(III)を用いて直接染料水溶液から染料を凝集沈殿させる方法を検討した。使用量の多い5種類の直接染料について実験を行なった。精製した染料を蒸留水に溶かし,塩化鉄(III)を種々の条件下に加え,生じた水酸化鉄(III)と染料の凝集物を遠心分離機で沈殿させ,沈殿しない染料を比色によって定量した。得られた結果はつきのようである。
    1)染料の凝集沈殿はpHが5以下の酸性域で効果的に進行した。
    2)pHが5,染料濃度が100PPmの場合には,塩化鉄(III)を鉄として60~100ppm加えることにより溶存する染料の95~100%が沈殿した。
    3)ある染料に対する塩化鉄(III)の凝集沈殿効果は,その染料溶液に硫酸ナトリウムを加えることにより減少した。
    4)この沈殿処理の効果は染料の種類によって差があり,多くの染料が完全に沈殿するような条件においても,ある染料は30%以上沈殿することはなかった。
  • 新谷 誠之, 野口 駿, 島岡 秀子, 星 美恵子
    1962 年65 巻10 号 p. 1594-1597
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報で各種界面活性剤を添加するとヘキサクロロフェン(G-11)のカップ法によるブドー球菌に対する阻止円が減少し,従って殺菌力の不活性化が起ることが推定された。この不活性化の原因を探究するために,紫外部の吸収スペクトルの変化を測定し,その変化の様子と活性剤の種類との間に関連性を見出そうとした。その結果,G-11の紫外吸収スペクトル(主に300~320mμ)はアルカリ濃度(従ってpH値)の増加に伴なって深色移動し,かつ濃色効果も認められること,界面活性剤を添加した場合,非イオン系では吸光度の減少,吸収曲線の形の変化を生ずるが,陰イオン系では低濃度ではこうした変化がほとんど認められないが,臨界ミセル濃度以上では認められるようになること,またいずれのタイプの界面活性剤でも添加によるpH値の変化はほとんど生じないことなどが明らかになった。この結果前報における阻止円の減少の機構は非イオン系活性剤と陰イオン系活性剤とで異なり,前者では殺菌剤と活性剤分子の相互反応が,後者ではミセルの形成が大きく関与しているものと推定された。
  • 黒岩 城雄, 中村 亦夫
    1962 年65 巻10 号 p. 1598-1602
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    純ブドウ糖,デンプン加水分解物につき,濃度範囲30~80%の水蒸気圧を測定し,Raoult法則の適合範囲が加水分解率に関せずおよそ50%以下であること,デンプン糖溶液の真空濃縮時の蒸発熱として10.4kcal/molを用いうることを示し,また,デンプン糖液の噴霧乾燥の難易および噴霧乾燥製品の吸湿性の大小の加水分解度による影響を理論的に明らかにした。つぎに,上記の測定結果を応用して含水ブドウ糖の解離圧を30~60℃の範囲で計算し,それより得られた解離熱13.04kcal/molが文献上の熱データよりの値とよく一致することを示した。また,これらの理論的結果を含水ブドウ糖の脱水および無水ブドウ糖の吸湿蒸気圧の実測値と比較して,含水-無水再結晶間の転移には中間過程として溶液が形成されることを推定した。この推定に基づき,いろいろな大気の条件下における両結晶の安定な範囲を図示した。
  • 宇佐美 昭次, 武富 昇
    1962 年65 巻10 号 p. 1603-1605
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    Asp.nigerを用い,糖蜜(台湾産廃糖蜜)培地とブドウ糖培地のクエン酸発酵性を比較した。糖蜜培地では栄養源が豊富で,ブドウ糖培地に比べて培養初期における酸素摂取が旺盛で,酸生成開始の時期も遙かに速いが,クエン酸の生成量が著しく低く,かつシュウ酸を同時に生成する。糖蜜の灰分を調製してこれをブドウ糖培地に加えたり,ブドウ糖培地と糖密培地を種々の割合で混合して糖蜜培地でのクエン酸生成の阻害因子を検討したところ,とくに糖蜜中の有機非糖分がクエン酸生成の阻害に影響しており,また無機成分の影響もかなりあることがわかった。糖蜜培地におけるシュウ酸の併生は培地の緩衝作用が強いことが主な原因で,窒素源として硫酸アンモニウムを使用しても残基の影響による培地pHの急激な低下(酸性側になること)が起らないためであることがわかった。
  • 水口 純, 鈴木 周一, 高橋 不二雄, 柏谷 堅太郎
    1962 年65 巻10 号 p. 1606-1608
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    生体において,TCAサイクルから供給される水素が電子伝達系を介して酸化還元をくり返し,空気中酸素と結びつくとき,エネルギーが放出される。このような反応系を生体外で実現させる試みは未だ知られていない。
    生体外の電子伝達系モデルとして,シスチン・システイン-鉄イオン系とキノンーヒドロキノン-酵素系とが考えられた。これらを利用し,空気中酸素を消費しつつエネルギーを放出させる最初の試みとして,電池陽極の減極剤に用いてみた。
    モデルの電子伝達系を用いた電池はそれらを用いない電池より大きい電流密度および容量を示し得ることがわかった。電子伝達系は酸化還元反応をくり返していることが認められた。
  • 藤井 悦男, 杉浦 正昭
    1962 年65 巻10 号 p. 1609-1613
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    写真乳剤たポリビニルアルコール(PVA)を利用しその保護コロイドとしての安定性を検討するため,一般の親水コロイドの金数を測定する方法を使って種々のPVAの保護作用をゼラチンの場合と此較した。これには塩化ナトリウム溶液を添加した際の金ゾルの変色状態を分光光度計を用い,一定波長の光に対する透過率を測定して比較を行なった。種々のPVAについて室温における金数の測定と室温以上80℃までの各温度において,広範囲の濃度に対する透過率の変化を観測した結果, 完全にケン化されたPVAは試料の僅かの性質の差により広範囲の金数値(1~60)をもち, そして一様に60℃ 以上の温度において保護作用を減じた。PVAは分子構造上多数のOH基を含有しているが,疎水コロイド面への凝着すなわち不可逆的皮膜形成能に劣り,かえって疎水基を多少有する部分ケン化PVAにおいてすぐれた保護作用が示された。
  • 吉崎 修, 石橋 徹, 長井 栄一
    1962 年65 巻10 号 p. 1614-1617
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アイソタクチックポリプロピレンの種々の前処理試料を用いて135℃における結晶化速度をディラトメーターで測定した。熱処理試料の結晶化速度は融解温度が195℃から205℃になると急激に減少した。一方,未熱処理試料の195℃で融解したときの結晶化速度は熱処理試料を205℃以上で融解したときと同じであった。延伸試料の195℃融解物の結晶化速度は延伸倍率が増大するにつれ増大した。これらの結果から融点近傍においては固体状態でのポリマー鎖の配置が完全には乱されず,従って結晶化速度に試料前処理の効果が反映されたものと考えられる。
  • 大谷 杉郎, 石川 武春
    1962 年65 巻10 号 p. 1617-1622
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニルの分子構造と,焼成物の構造との関係を検討するために,ポリ塩化ビニルの熱重量分析と,425℃に加熱した焼成物の赤外および紫外吸収スペクトルによる観察を行なった。
    ポリ塩化ビニル試料としては,Geon 103EP(G)と-30℃で重合した試料とを用いた。
    熱重量分析曲線から得られる分解初期(270℃以下)の活性化エネルギーは両試料ともに22kcalであったが,400℃以上での熱分解過程に対するそれは,Gが37kcal,Fが46kcalであった。次にカラムクロマトグラフィーにより両試料をいくつかのフラクションに分離し,赤外および紫外吸収スペクトルで検討した結果,次の事実が認められた。これら焼成物の平均分子量は700~800で,縮合環型の芳香族構造と,かなりの量の飽和脂肪族構造からできている。更にGからの焼成物はFからの焼成物よりも多量のかつ長い脂肪族構造をもち,FはGよりも直線型の芳香族縮合環構造を作る傾向が大きい。
    これらの結果から,原料PVC中に含まれているシンジオタクチックおよびアイソタクチック構造の含有量が焼成物の構造を決定する際の重要な役割を果しているものと推測した。
  • 井上 博夫, 林 繁喜, 滝内 峻, 井本 英二
    1962 年65 巻10 号 p. 1622-1626
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    キノン型,フェナジン型,オキシケトン型,オキシム型の各配位子と金属イオン,すなわちCu2+,Zn2+,Fe2+,Ni2+,Co2+,Cr3+,Pb2+,Sn2+,Sn4+のそれぞれを組みあわせて31種のキレート高分子化合物を合成し,導電性を検討した。いずれのキレート高分子化合物も不融,不溶性で,金属イオンが同種の場合は耐熱性はオキシケトン型<キノン型<フェナジン型の順に良く,また,一般的にいって金属イオンとしてはZn2+,Ni2+の場合が比較的良好であった。導電性は金属イオンのイオン化傾向と関係し,イオン化傾向の大きい金属イオンを含むキレート化合物程,20℃の固有抵抗値,活性化エネルギーは小さく,配位子はキノン型,オキシケトン型の方がフェナジン型,オキシム型に比べて良好であった。
  • 田畑 米穂, 石榑 顕吉, 祖父江 寛
    1962 年65 巻10 号 p. 1626-1629
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    テトラフルオルエチレンおよびプロピレンの混合系に- 7 8 ℃ 液相でγ 線照射を行ない共重合物を得た。この共重合反応には誘導期間が存在し,重合速度は線量率のほぼ1/2乗に比例する。共重合体は無定形固体で,常温でテトラヒドロフランに溶解する。30℃でテトラヒドロフラン溶液で粘度の測定を行ない,モノマー組成テトラフルオルエチレン66.4mol%,線量率0.7×105r/hrで1.3×107r照射して得られた共重合物につき[η]=0.21なる結果を得た。
    トリウム滴定法によりポリマー中のフッ素の分析を行ない,これよりモノマー反応性比を求め,
    γ1(プロピレン)=1 γ2(テトラフルオルエチレン)=0.06
    を得た。
    共重合体の赤外吸収スペクトルは,各ホモポリマーのスペクトルの重ね合せとは全く異なったものとなり,重合条件により連続的に変化していることが認められた。
    実験結果より,この共重合はラジカル機構と推定される。
  • 祖父江 寛, 斎藤 吉民
    1962 年65 巻10 号 p. 1630-1634
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    クロトンアルデヒドはイオン触媒で容易に重合することを確かめた。本実験ではBF3O(C2H5)2触媒を用いた重合を行ない動力学的に検討した。その結果,クロトンアルデヒドの重合の速度は触媒濃度の1乗に比例する。しかしモノマー濃度に対しては濃度により重合の速度が変わる。今触媒濃度0.26mol/l,重合温度16℃の場合の重合速度Rpはモノマー濃度[M]が
    1.7mol/l>[M]の場合Rp=K[C][M]2
    1.7mol/l<[M]<12.09(Bulk)mol/lの場合Rp=K'[C]log1/[M]
    ただしK,K'は重合速度定数,[C]は触媒濃度
    重合温度に対する依存性も大きく,重合温度が0℃以下では温度が低くなるに従い重合速度は著しく遅くなる。またこの重合の活性化エネルギーも比較的大きな値である。今[M]=1.42mol/l,[C]=0.26mol/lの条件で50~-20℃の温度で重合させた場合の活性化エネルギーは11.4kcal/molである。ポリマーを赤外吸収スペクトルで調べると重合は大部分二重結合の開く反応であることがわかった。
  • 林 久明, 伊藤 維厚, 三枝 武夫, 古川 淳二
    1962 年65 巻10 号 p. 1634-1636
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アクリロニトリル(AN),ブテン-1および二酸化イオウの3元共重合体中にはBTとSO2は常にほぼ等モルずつ含まれており,その組成は〓(BT-SO2)x-(AN)y〓と考えられる。この3元共重合はBT-SO2の1:1コンプレックスとANの二元共重合として解析することができた。BT-SO2コンプレックスの平衡定数が小さいと仮定して導いた次の共重合組成式は実験式と比較的よく一致した。
    (BT)/(AN)=(SO2)/(AN)=[BT][SO2]/[AN]・0.8[BT][SO2]+[AN]/[BT][SO2]+1.0[AN]
    ただし[AN],[BT],[SO2]はそれぞれAN,BT,SO2の仕込時のモル濃度;(AN),(BT),(SO2)はそれぞれのポリマー中のmol%を示す。
  • 戸倉 仁一郎, 松田 実, 吉地 宏
    1962 年65 巻10 号 p. 1636-1641
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    液体亜硫酸-ジメチルスルホキシド混合溶媒中でスチレンおよびアクリロニトリルをおのおのα,α'-アゾビスイソブチロニトリルを開始剤としてラジカル重合させ,この系にヨウ化カリウム,塩化リチウム,臭化テトラエチルアンモニウムをおのおの添加した。重合温度は50℃。ヨウ化カリウムを添加した場合は混合溶媒との間で反応がおこり, ヨウ素が副生してこれがラジカルを捕捉すると同時に,不純物ができるために速度を著しく減少させる。塩化リチウムの場合ではほとんど影響を与えなかった。臭化テトラエチルアンモニウムはスチレンに対しては影響がなかったが,アクリロニトリルでは速度はその濃度とともに減少する。重合度は速度が低下するものでは同じように減少する。ポリマーの組成は塩類を添加しても影響なく,スチレンポリスルホンとポリアクリロニトリルをおのおの与える。
  • 大谷 精弥
    1962 年65 巻10 号 p. 1641-1645
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリカプラミドの解重合反応によりε - カプロラクタム( 以下ラクタムと略称する) を回収する方法について, 主としてダウサムA 熱媒体の常圧加熱による温度約255℃ において新しい触媒の探求, 反応条件を検討した。この結果
    (1)新しい触媒として第1,第2,第3リン酸アンモニウム,リン酸アニリンなどのリン酸塩が有効であることを見出した。
    (2)解重合速度に対する触媒の種類,存在量の影響を調べ触媒の量が増加すると解重合速度は増加するがラクタム収率は低下してくる傾向あること,反応の末期を除いて反応は1次反応であることを認めた。
    (3)ポリカプラミドに対し30~40%以上の触媒を加え解重合し,カマ(釜)内に残存する触媒にポリカプラミドのみ加え繰返し解重合すれば,同じ触媒量でラクタム収率は90%以上に向上し,反応所要時間も著しく短縮し得ることを見出した。この場合も反応は1次反応であり,触媒活性の変化を速度定数の変化で求めた。
  • 大谷 精弥
    1962 年65 巻10 号 p. 1645-1646
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    リン酸あるいはリン酸アンモニウムなどのリン酸塩を触媒としてポリカプラミドの解重合を行なうと, 解重合カマ(釜)内に黒色発泡性のタール状物質が副生成残存し触媒活性は漸次低下する。
    この残留物から純粋なリン酸を収率よく回収する方法について,考えられる方法を検討した結果,残留物を500~600℃で3~4時間焼成して炭化した後,焼滓の3倍重量程度の水を添加し,逆流コンデンサー下1~2時間煮沸後ロ過すればその目的を達し得ることを見出した。得られるリン酸回収収率は97%以上であり,回収リン酸は通常のリン酸と同じくポリカプラミド解重合触媒として活性を発揮することを確かめた。
  • 大河原 信, 栗栖 安彦, 井本 英二
    1962 年65 巻10 号 p. 1647-1652
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ヨードポリスチレン(PJ)を原料として種々の三価ヨウ素を含む高分子化合物を合成した。PJをクロロホルム中で塩素化すると最高100%の反応率で-ICl2基を含む黄色,粉末ポリマー(PJC)を得た。PJCは徐々に塩素を放ってPJに戻るが,種々の有機化合物を塩素化する試剤となる。とくに,サリチル酸の核塩素化,アセナフチレン,シス-スチルベンの塩素付加などでかなりの選択性が認められる。PJCをアルカリで処理すると-IO基をもつポリマー(PJO)を与え,PJOは熱水処理で-IO2基をもつポリマー(PJOX)に変わる。PJOは色素,アミン類を酸化し,また安息香酸と反応してポリスチレンヨードソベンゾエートを与える。PJOXはPJをカロ酸,過安息香酸,モノ過フタル酸などで酸化しても得られるが,後二者の場合は一部カルボン酸エステル構造を含むポリマーを与える。ポリアクリル酸とヨードソべンゼンの反応でもエステル型と思われるポリマーを与えた。以上すべての3価ヨウ素を含むポリマーはヨードメトリーで力価を測り,赤外吸収スペクトルの結果とあわせてポリマーの組成を推定した。PJとチオシアノーゲンの反応で-I(SCN)2構造のポリマーを得ることはできなかった。
  • 大河原 信, 笹岡 勁, 井本 英二
    1962 年65 巻10 号 p. 1652-1657
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    2,6-ジメチル-3,5-ジエトキシカルポニルピリジン(A)を原料として,3,5位に酸ヒドラジド(B),酸アジド(C),カルボキシル(D),酸クロリド(E)をもつピリジン誘導体を合成した。A~Eは種々のジアミン,ジオール,ジイソシアネート類と重付加, 縮合反応を行ない, ポリアミド, ポリウレタンあるいはポリ尿素型の高分子を与えた。またポリピニルアルコール, アニリン・ホルマリン樹脂, アミノポリスチレンをニコチン酸クロリドと, クロルメチルポリスチレンをニコチン酸アミドと反応させて,ニコチン酸構造を側鎖にもつ高分子,それぞれO,Q,RおよびPを合成した。O,P,QおよびAとヘキサメチレンジアミンの重縮合物は,これをヨードメチルまたはジメチル硫酸で4級化した後,亜二チオン酸ナトリウムや水素化ホウ素ナトリウムで還元するとジヒドロピリジン核を含むポリマーを与えた。これらジヒドロピリジン型ポリマーはマラカイトグリーンや,Fe3+の還元を行ない,新しい型の酸化還元樹脂である。
  • 大河原 信, 生地 由昌, 井本 英二
    1962 年65 巻10 号 p. 1658-1664
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    2-メチル-5-ビニルおよび4-ビニルピリジンの単独重合体,およびそのジビニルベンゼンとの橋かけ重合体の化学反応を検討した。これらポリビニルピリジン類(PVP)は臭素を付加(50~80%)し,ピリジンペルブロミドあるいはピリジニウムブロミドペルブロミド型のポリマーとなり,これらは有機化合物の核や不飽和結合を臭素化する能力がある。PVPはピクリン酸を付加(~90%)し,付加物はオキシ塩化リンと反応して塩化ピクリル(80%)を生成する。またPVPは過酸化水素,過安息香酸,モノ過フタル酸などの作用でN-オキシドを生成(~80%)し,N-オキシドは三塩化リンなどで脱酸素(70%)される。N-オキシドはN-ベンジルオキシ型に変えアルカリで処理すると,結合ベンジル基に基づく収率95%でべンズアルデヒドを与えた。そのほかPVPとヒドロキノン,キノン,無水硫酸,チオシアノーゲンなどの反応を検討した。
  • 下土居 豊, 増田 耕一郎, 村田 二郎
    1962 年65 巻10 号 p. 1664-1668
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    α-アミノ-α-メチル-γ-メトキシ酪酸,α-アミノ-α-メチル-γ-ブトキシ酪酸およびα-メチルメチオニンを無水酢酸と処理して,それぞれ2,4-ジメチル-4-(β-メトキシエチル)-5-オキサゾロン,2,4-ジメチル-4-(β-ブトキシエチル)-5-オキサゾロン,2,4-ジメチル-4-(β-メチルチオエチル)-5-オキサゾロンが得られた。α-アミノ-α-メチル-γ-ベンジルオキシ酪酸,α-アミノ-α-メチル-γ-(p-オキシフェニル)酪酸の場合にはそれぞれα-アセチルアミノ-α-メチル-γ-ベンジルオキシ酪酸,α-アセチルアミノ-α-メチル-γ-(p-アセトキシフェニル)酪酸が得られた。2-フェニル-4-べンザル-5-オキサゾロンとポリビニルアルコールとの反応では窒素分析値4.2%の水に不溶の生成物が,セルロースとの反応では窒素分析値1.17%の生成物が得られた。
  • 生源寺 廷, 高橋 英郎, 丹野 和夫
    1962 年65 巻10 号 p. 1668-1672
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    カルシウムベース亜硫酸パルプ廃液(酸性)にカセイソーダを添加して得た中和液(甲液)と炭酸ナトリウムを溶解したナトリウムベース上澄液( 乙液) とを連続反応槽に送って反応させることにより炭酸カルシウム沈殿を含むスラリーを生成させたのち,これを連続沈降槽に送って沈殿を分離しナトリラムベース上澄液を製取する連続脱石灰工程についての実験を行なった。連続沈降槽としては, 特にスラッジブランケット型の構造を加味したものを用いた。まず, 一定の化学的条件の下に調製した甲乙両液を一定流量比で反応槽に送入して反応を行なわせ,反応温度,滞留時間,ならびにかきまぜ方式等を種々変えることにより, 粗大均一で易沈降性の炭酸カルシウム粒子が生成するような好適条件を求めた。つぎに4つの好適条件で得られたスラリーを連続沈降槽に送り平均上昇流速21.5cm/hrの条件で沈殿を分離し,得られる溢流液( ナトリウムベース上澄液) を各時間ごとに供試し残存カルシウム分を測定することによりカルシウム分が除去されてゆく状態を調べるとともに,該槽中における沈殿の分離機構の一端をも推定した。
  • 中村 好雄, 根岸 道治
    1962 年65 巻10 号 p. 1673-1675
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    分子間橋かけ構造を導入したポリビニルアルコ一ル(PVA)系合成繊維の弾性度向上を主目的として,置換度約17mol%の水溶性部分カルバモイルエチル化PVA(PVB)およびそのN-メチロール化物(PVM)とPVAとの混合紡糸を行ない,PVB混合熱処理繊維は繊維状N-メチロール化(M化)後あるいはそれを行なうことなくベンズアルデヒド処理(B化)を,またPVM混合繊維はB化のみを行なってそれら処理繊維の各種性能を測定した。B化繊維の耐熱水性はPVB(0~30%)混合系では混合率の大なるほど,またPVM(0~30%)混合系では混合率10%において最もすぐれ,数%の熱水収縮率を示した。これは同程度の耐熱水性を有する純PVA繊維よりも明瞭により少ないB化度を示している。またこれらの後処理繊維は引張り強伸度および結節強伸度の劣化を伴なうことなく,低伸長域においてB化PVA繊維に比べてすぐれた弾性度を示したが,耐熱水性,弾性ともにその向上効果は前報ホルマール化(F化)の場合と同程度である。B化繊維の耐酸性はPVBあるいはPVM混合によって著しく改善される。以上の結果からB化混合繊維の場合にも,F化の場合と同様にカルバモイル基,N-メチロール基あるいはそれらとビニル水酸基間に形成される分子間橋かけ化の寄与が大きいものと考察した。なおこれらの後処理繊維の直接および酸性染料に対する染色性もある程度改善された。
  • 中村 好雄, 根岸 道治
    1962 年65 巻10 号 p. 1676-1678
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    水溶性部分シアノエチル化ポリビニルアルコールを微アルカリ性下過酸化水素でほとんど完全にカルバモイル化した後,ホルムアルデヒドおよび水酸化ナトリウムを添加して過剰の過酸化水素をギ酸ナトリウムとして除去すると,同時にカルバモイル基をN-メチロール化する合成法について各種条件下の反応速度を追求した。その結果精製部分カルバモイルエチル化ポリビニルアルコールを原料とする既報の場合とほとんど同様に円滑にN-メチロール化が施行できることを認めた。
    すなわち, カルバモイル化反応が定量的に進行すると仮定しての過剰な過酸化水素の除去に必要なホルムアルデヒド計算量以上に添加されたメチロール化用のホルムアルデヒドと-CN基とのモル比が増加するほど,また反応温度が高いほどN-メチロール化速度は増加する。たとえばCH2O/-CN=5mol比において,40℃では60分,50℃では30分でほとんど完全にN-メチロール化され,これらの時間においてメチロール化度に極大値の存在が認められた。また脱エーテル化速度はCH2O/-CNモル比が小さいほど,また反応温度の高いほどより大きく,-COOH基生成量はいずれの反応条件においてもきわめて微量であった。-COOH基の微量生成を無視すれば, ホルムアルデヒド過剰条件では反応速度論的に次式が導かれ,それが近似的に実験結果に適用されることを認めた。
    x=a[exp(-k3t)-exp{-(k1+k2)t}]
    aは-CONH2基の初濃度,xはN-メチロール化反応t時間後に生成された-CONHCH2OH基数,またk1N-メチロール化反応速度定数,k2およびk3は-CONH2基および-CONHCH2OH基の脱エール化反応速定数を示す。なおk1+k2/k3は40~50程度と推定され,k1k2k3であることが認められた。
  • 直川 準, 垣内 弘
    1962 年65 巻10 号 p. 1679-1682
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    芳香族炭化水素とホルムアルデヒドの反応樹脂については,メタキシレン・ホルムアルデヒド樹脂,ナフタレン・ホルムアルデヒド樹脂等,いくつかのものについて近時活発な研究が行なわれているが,トルエンとホルムアルデヒドの反応についての詳細な発表はない。著者らはまずトルエンとホルムアルデヒドの反応の可能性について検討を加え生成樹脂の諸性質と,その一般的組成を知ることを目的として,過塩素酸を触媒とし,触媒量,モル比,反応時間,反応系中の水分量等の影響をしらべ生成樹脂の諸性質との関連性を求めた。この結果トルエンは過塩素酸触媒下でホルムアルデヒドと反応し油状ないしアメ状の含酸素樹脂を生成することを認め,これら樹脂状物の平均組成を明らかにし,更にこの樹脂にフェノールノボラックを加えて加熱硬化する際の硬化時間は, 樹脂構成の酸素含有率と直線関係にあることを認めた。
  • 直川 準, 垣内 弘
    1962 年65 巻10 号 p. 1683-1688
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トルエン・ホルムアルデヒド樹脂(以下TFRと略記)とフェノール類との反応性を検討するため,共縮合条件と生成樹脂の諸性質との関係を明らかにすることを目的とし, フェノール, レゾール, ノボラック等を使用して, 反応モル比,触媒量, 反応温度, 反応時間等の要因について, その影響を見た。更にこれらの結果から反応機構を推定した。
    この結果,TFRはフェノール類と反応して共縮合樹脂を生成し,TFRのエーテル,アセタール,メチロール等の含酸素基が反応にあずかることを認めた。また, 共縮合条件の種々な要因のうち, 反応温度, モル比, 触媒量が共縮合樹脂の諸性質に対する影響が大きい。更にTFRは,その構造及びノボラックとの反応性から,ノボラックの橋かけ剤としての作用を有することを知った。
  • 直川 準, 石井 敬一郎, 垣内 弘
    1962 年65 巻10 号 p. 1689-1692
    発行日: 1962/10/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トルエン・ホルムアルデヒド樹脂(以下TFRという)の一硬化法として,TFRとアニリンの共縮合樹脂を合成し,この硬化法を見出すことを目的として,まずTFRとアニリンを共縮合反応させた。この際得られる共縮合樹脂は,アミン類の定性分析,元素分析,赤外分析等より第一,第二,第三アミンのまざった含窒素樹脂であり,その生成には触媒量,反応モル比,反応温度,TFR分子中の酸素量等が大きく影響している。この共縮合樹脂は二,三の硬化剤を添加することにより熱硬化した。
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