工業化学雑誌
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泡沫による無機イオンの濃縮分離
小泉 勇
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1962 年 65 巻 9 号 p. 1343-1347

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抄録

アルキルべンゼンスルホン酸ナトリウムと,無機塩を含む水溶液を分液漏斗中でふりまぜて,発生させた泡沫を分けとり,泡沫と残液のそれぞれについて各イオンを定量して泡沫中へのイオンの濃縮を検し,界面層と溶液間におけるMg2+とAl3+の1価カチオンからの分離係数,ならびに,Al3+のMg2+からの分離係数を求めた。界面層におけるアルキルベンゼンスルホン酸アニオンに対し,吸着したカチオンの当量分率は,そのカチオンの溶液中における濃度とともに増し,ほぼ飽和曲線を与え,また共存する他種カチオンの濃度を増すに従い当量分率が低下した。分離係数は,溶液中の当該カチオン濃度が小さい場合ほど大きく,Na+からのMg2+の分離係数とNa++H+からのAl3+の分離係数の間には1桁近い差が認められた。
また,NH4+,Mg2+,Al3+3種のカチオン共存溶液から,窒素ガス送気により,連続的に泡沫を生成させたところ,泡沫柱上部より高原子価の順に互に深く重なり合った吸着帯が排列したクロマトグラムの形成が認められた。さらに,泡沫柱と試料溶液を連続的に向流接触させ,Mg2+からのAl3+の分離濃縮を試み良好な分離が達成された。

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