工業化学雑誌
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示差熱分析および熱天秤によるピロリン酸二水素ニナトリウムの熱分解
市川 厚清山 哲郎
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1962 年 65 巻 9 号 p. 1347-1351

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抄録

縮合リン酸ナトリウムの基礎研究の一つとして次の研究を行なった。オルトリン酸塩よりメタリン酸塩に至る熱分解反応の中間生成物である酸性ピロリン酸塩について,その熱分解反応を主として示差熱分析法によって追跡し,オルト塩よりのトリポリリン酸塩生成過程の検討のための基礎資料とするを目的とする。
酸性ピロ塩のDTA曲線には2本の吸熱のピークを生ずる。すなわち一つは280~355℃の間の緩慢なピークであり,続いて340~375℃の間に鋭いピークがある。粒径が小さくなると第1のピークが高くなり,第2のピークが低くなる。このことは加熱速度が小さくなる場合にもみられる。第1のピークでは分析の結果NaPO3(II)および少量の(NaPO3)3が生成しており,第2のピークではNaPO3(II)および微量のトリポリ塩が生成してくる。ともに酸性ピロ塩の熱分解反応であるが第1のピークは固相分解で1次反応型である。これは熱天秤で行なった結果ともよく一致しており,活性化エネルギーは約60kcal/molである。第2のピークは溶融状態での反応と考えられるが,ここでは生成した(NaPO3)3はすみやかにII型に転移していく。

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