工業化学雑誌
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p-トリル酸およびp-キシレンの液相空気酸化における金属ハロゲン化触媒
太田 暢人高橋 英二堀切 英克
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1962 年 65 巻 9 号 p. 1353-1357

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抄録

p-トリル酸およびp-キシレンの液相空気酸化(反応温度はそれぞれ150°および135℃)における金属ハロゲン化物型触媒の組成と活性の関係について研究した。
正酪酸を溶媒とするp-トリル酸酸化において,金属ハロゲン化物型触媒の金属成分としてはコバルトが最もすぐれ,マンガンがこれにつぎ,一方ハロゲン成分としては臭素が最もすぐれ塩素がこれにつぐ。これらの成分の組合せ以外に有効なものは見出しえなかった。臭化アルカリまたは臭化アンモニウムは単独で用いたのでは触媒として役立たない。臭化アルカリをナフテン酸コバルト触媒の助触媒として用いる時,臭化アルカリはその濃度がある限界を越えない場合のみ触媒効果を示しうる。しかしながら,臭化アンモニウムを助触媒として用いる時はかかる現象は認められなかった。ナフテン酸コバルトと臭化アンモニウムよりなる触媒においては,その触媒活性はBr/Coの原子比が6/1に達するまではその原子比の増大につれて増大する。
p-キシレンの酸化において,連鎖進行期における反応は,ナフテン酸コバルト触媒を用いる場合より臭化コバルト触媒を用いる場合,はるかに速かに進行する。しかし反応速度定数の比k2/k1は,臭化コバルトを触媒として用いる時の方が小さい(ただし,k1はp-キシレン→p-トリル酸の速度定数,k2p-トリル酸→テレフタル酸の速度定数である)。臭化マンガン触媒,酪酸溶媒使用の条件では溶媒使用割合によっては酸化が進行しないことがある。

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