工業化学雑誌
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メタノールまたは一酸化炭素の反応系外への放出による銅クロマイト触媒の活性増大
宮 文二山本 治星野 文郎田口 稔
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1962 年 65 巻 9 号 p. 1357-1360

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抄録

前報では銅系または亜鉛系触媒を用いてエステルを還元しアルコールをつくる高圧水素還元において反応系に予め添加したメタノールまたは反応で生成したメタノールを, 高温時反応系外に放出すると触媒の活性が急増する事を報告し,この現象を用いれば高圧を使用しなくても反応が進行するであろうことを述べた。この予想を確かめるため実験を行なった。すなわちナタネ脂肪酸メチル150gに銅クロマイト触媒4.5g,メタノール16gを入れ低圧水素で空気を置換後昇温して反応温度275℃ になった時上記16gのメタノールを放出すれば触媒活性が増大し, その結果通常120atmで行なう反応が28atmでも同じ速さで進行することを認めた。また反応圧を下げる代りに触媒量をへらしても同様によく反応は進行する。あらかじめ添加したメタノールは昇温中一部分解する。そのうちの一成分は一酸化炭素である。メタノールの代りに一酸化炭素を使用し, これを高温で放出しても活性が増大する。メタノールの場合は活性増大の程度は添加メタノール量に比例するが,一酸化炭素の場合はその添加量にほとんど無関係である。

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