染料廃水の脱色処理の基礎資料を得るのが目的で, 硫酸鉄( I I ) を用いて染料水溶液から染料を凝集沈殿させる方法を5種類の直接染料について検討した。精製した染料を水に溶かし,硫酸鉄(II)を種々の条件下に加え,生じた染料の沈殿を遠心分離機で沈降させ,沈殿しない染料を比色によって定量した。得られた結果はつぎのようである。
1)水酸化カルシウムを用いてpHを7~11にした染料水溶液に,硫酸鉄(II)を鉄に換算して100ppm加えると,C.I.Direct Black38,C.I.Direct Green6,C.I.Direct Red23は100%沈殿し,C.I.Direct Yellow12は約85%沈殿した。C.I.Direct Blue6は沈殿しにくいが,pH11では86%沈殿した。
2)硫酸鉄(II)による直接染料の沈殿には,水酸化カルシウムを用いて染料水溶液のpHを調整することが必要である。水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを用いたのでは,染料沈殿率は一般に低い。
3)硫酸鉄(II)と水酸化カルシウムを用いて染料を沈殿させる場合に,染料水溶液中に炭酸ナトリウムが存在すると,染料沈殿率が低下する。
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