工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
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67 巻, 1 号
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  • 永井 芳男
    1964 年 67 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 小池 栄二
    1964 年 67 巻 1 号 p. 4-11
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1964 年 67 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 松井 弘次
    1964 年 67 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 岡崎 光雄
    1964 年 67 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 小田 良平
    1964 年 67 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 平島 恒亮, 真鍋 修, 檜山 八郎
    1964 年 67 巻 1 号 p. 36-46
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 飯島 俊郎
    1964 年 67 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 中原 達晃, 出原 正孝, 檜山 八郎
    1964 年 67 巻 1 号 p. 52-54
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トビアス酸のスルホン化によって製造されるアミノJ酸中の不純分は主としてアミノG酸,アミノR酸およびβ-ナフチルアミンモノスルホン酸であることを確認し,これらの分析法としてつぎの方法がよいことを見出した。すなわち試料をジアゾ化し,これをNW酸にカップリングして生成する色素の2%酢酸を含む20%ピリジン溶液を大型ロ紙の端の方につけ,2%塩酸を用いて下降法で展開し,分離したおのおののスポットを切りとって20%ピリジン溶液で抽出し,抽出液を比色定量することによってアミノJ酸およびその中に含まれる不純分を正確に定量することができた。
  • 中原 達晃, 出原 正孝, 北原 新哉, 檜山 八郎
    1964 年 67 巻 1 号 p. 54-57
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ブロマミン酸は主なる不純物として未反応の1-アミノアントラキノン-2-スルホン酸を含んでいるが,両者はいずれも着色(橙~赤橙色)しているので,ペーパークロマトグラフィーによって分離後比色定量する簡便な方法について検討した。その結果,試料を1%塩酸を展開剤として下降法によって長時間(15~16時間)展開し,両者を互に分離後ピリジン水溶液で抽出し,光電比色(主波長460mμのフィルター使用)することによって簡便に,しかも精度よく両者を定量することができた。
  • 伊東 昭芳, 檜山 八郎
    1964 年 67 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ナフタリンを0~40℃でモノスルホン化する際生成するα,β両異性体の生成割合は,おおよそα:β=85~83:15~17であるので,スルホン酸のアルカリ溶融によって工業的に高純度のα-ナフトールを製造するには,ナフタリンの低温モノスルホン化物から簡単かつ安価な方法でβ異性体を分離することが必要である。このことに関し先報で明らかにしたβ異性体の性質,即ちナフタリン-β-スルホン酸の溶解度は84%以上の濃度の硫酸中で(水に対する溶解度の場合とは逆に)α異性体より大となるということを利用して,ナフタリンの低温モノスルホン化物からβ-スルホン酸を除去することが可能であると考えられる。種々検討を行なった結果,少量のβ異性体を含むα-スルホン酸では,90%硫酸中でかきまぜたのちロ過するだけの操作により,β異性体は完全にロ液の方へ分離され,また廃酸濃度が84%以上となるような通常の低温モノスルホン化条件では,反応物をロ過するだけの操作によって,生成しているβ異性体の75~80%を除去しうることが判明した。β異性体を含むロ液は,希釈ならびに中和ボウ硝塩析操作によって純粋なナフタリン-β-スルホン酸ナトリウム塩を分離することができるが,さらにまたナフタリンの高温モノスルホン化剤としてβ-スルホン酸の製造に利用することができる。
  • 横手 正夫, 黒木 正胤, 露崎 輝男
    1964 年 67 巻 1 号 p. 63-64
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    β-ナフトール,硫酸,グリセリン,ピロヒ酸の反応によりベンゾナフテノンを合成する際に,亜硫酸水素ナトリウムを加えることにより収率を30%程度に向上させることができた。亜硫酸水素ナトリウムを加えないと収率は10%程度に止まる。亜硫酸水素ナトリウムの代りに亜硫酸ナトリウム,硫酸鉄(II),塩化鉄(II)などを用いた場合は好結果が得られなかった。
  • 吉田 善一, 松本 利彦, 小田 良平
    1964 年 67 巻 1 号 p. 64-66
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    著者らは安息香酸の核アミノ化剤として,ヒドロキシルアミン塩~鉄(II)塩系試薬が従来知られたものより優れたアミノ化剤であることを報告した。そこで本報では本アミノ化試薬による安息香酸のアミノ化において,試薬の成分量がアミノ化にどのような影響を及ぼすかを研究した。その結果,アミノ化収率は基質が遊離酸であってもナトリウム塩であってもヒドロキシルアミン量とともに増大するが,鉄(II)塩量には実験条件(FeSO4/PhCO2H,モル比0.05~0.4)下では左右されなかった。本アミノ化において,モノアミノ化物以外に高次アミノ化物(基質が安息香酸塩の場合はトリアミノ体)が生成するが,この生成量は反応系の酸性が小さなほど大であった。この結果は芳香核ラジカル置換における置換基の電子効果からよく説明される。
  • 吉田 善一, 松本 利彦, 小田 良平
    1964 年 67 巻 1 号 p. 67-69
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    芳香族ラジカル置換に対する局在化エネルギーおよびラジカル付加中間体の安定性についての考察から,多核芳香族化合物はベンゼン誘導体より容易にアミノ化されると推論されるので,このような基質としてアントラキノン-2-スルホン酸ナトリウム(シルバソルト)を選び,水中および濃硫酸中でヒドロキシルアミン塩~硫酸鉄(II)(微量)系アミノ化試薬でアミノ化を行なった。その結果,シルバソルトのアミノ化は安息香酸のアミノ化より著しく高い収率でアミノ化物を生じた。濃硫酸中では1-アミノアントラキノン-2-スルホン酸,2-アミノアントラキノン-3-スルホン酸および1,4-でアミノアントラキノン-2-スルホン酸を生じた。これに反し水中でのアミノ化生成物は1-アミノアントラキノン-2-スルホン酸のみであった。アミノ化結果から,・NH2の攻撃は1-位に起こりやすいことが示された。
  • 吉田 善一, 松本 利彦, 小田 良平
    1964 年 67 巻 1 号 p. 70-72
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    濃硫酸中130℃で,硫酸ヒドロキシルアミンと硫酸鉄(II)との反応で生ずるアミノラジカルをアントラキノン(ArH)に攻撃させ,どのような生成物ができるかを研究した。その結果,生成物として,α-およびβ-アミノアントラキノン(Ar-NH2)ならびにアントラキノンにアミノラジカルが付加して生じたラジカル・〓の二量体〓が得られることがわかった。また,実験結果からアントラキノンヘのアミノラジカルの攻撃はβ-位よりα-位に起こりやすいことが示されたが,これはアントラキノンのα-およびβ-位の自由原子価の値の順序と一致する。
  • 吉田 善一, 松本 利彦, 小田 良平
    1964 年 67 巻 1 号 p. 72-76
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ヒドロキシルアミン塩~鉄(II)塩系試薬(・NH2の発生剤)をモノ置換アントラキノン(置換基:α-およびβ-CH3,α-およびβ-Cl,α-およびβ-OH,β-OCH3)に濃硫酸中130℃で作用させ,どのような生成物がえられるかを研究した。その結果,用いたモノ置換アントラキノンはすべてα-およびβ-位にアミノ基をもつモノアミノ体を生じた。メチルアントラキノンのアミノ化では・NH2がアントラキノン核に付加して生ずるラジカルの二量体も生成した。オキシおよびメトキシアントラキノンのアミノ化では主生成物はアミノ化物のスルホン酸であった。反応率におよぼす置換基効果から,モノ置換アントラキノンの反応性はE型置換基(とくに+E型置換基)の存在により,またβ-位よりα-位で高められることがわかった。
  • 吉田 善一, 大串 恒夫, 小田 良平
    1964 年 67 巻 1 号 p. 76-81
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ヒドロキシルアミン塩-塩化アルミニウム系試薬によるベンゼン誘導体の核アミノ化についてはこれまで正確な報告がみられないので本研究を行なった。アミノ化すべきベンゼン誘導体(2.0mol)を溶媒を兼ねて用い,これとNH2OH・HCl0.5mol,AlCl30.55および1.10molをベンゼンでは80℃で,トルエン,クロルベンゼン,アニソールでは100℃で5時間反応させた結果,いずれの場合にもモノアミノ体が得られた。とくにクロルベンゼンからは73.6%(対NH2OH・HCl)と高収率でクロルアニリンをうることができた。トルエンおよびクロルベンゼンのアミノ化の配向性,Sf値およびm-体生成量から,本アミノ化が陽性試薬の攻撃であり,しかもアミノ化試薬成分比1:2より生ずる攻撃種が1:1より生ずる攻撃種より陽性活性が大きなことがわかった。さらに,長倉らの電子移動の理論を適用することにより攻撃種のイオン対の性質に関しても知見をうることができた。
  • 永井 芳男, 山本 謙二, 長沢 孝太郎
    1964 年 67 巻 1 号 p. 82-85
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ベンゾアントロン系化合物における環系同族体の開発のため,その出発物質として4-クロルベンゾアントロン(V)を合成した。Vは基本的な化合物であるにもかかわらず,これまで確実なものは合成されなかった。著者らは一段階ごとに確認しつつ確実なVを新たに合成し,その諸性質を確認し,従来の諸性質記載はすべて誤りであることを指摘した。
  • 永井 芳男, 山本 謙二, 後藤 信行
    1964 年 67 巻 1 号 p. 85-87
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    4-(α-ナフチル)ベンゾアントロン(IV)を合成する目的で,4-クロルベンゾアントロン(III)とα-リチウムナフタリン(II)とを窒素ガス下,ベンゼン-エーテル混合溶媒中で反応させ,引き続き反応生成物を水蒸気蒸留にかけたところ,予期しなかった深青紫色の固体を得た。物理的化学的検討の結果,この固体はビスナフチルベンゾアントロニル型の構造(VI)を持つ液固両相にて安定なフリーラジカルであることがわかり,またこれを酸化することによって赤橙色の新化合物(VII)を得た。
  • 永井 芳男, 松尾 昌年
    1964 年 67 巻 1 号 p. 88-93
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレン繊維用染料を目的として,t-ブチル基を有する新しいp-ジスアゾベンゼン誘導体を合成した。ポリプロピレン繊維の染色を,非イオン活性剤を含む水分散浴で行ない,淡および濃色の黄~橙色を得た。ポリプロピレン繊維に対する染色性は,t-ブチル基が同数の場合,p-系列>m-系列で,t-ブチル基の数が増すと,両系列とも染色性が増大した。
    染色繊維について,耐光,洗タク,およびドライ・クリーニング堅ロウ度試験を行なった。耐光堅ロウ度は,t-ブチル基が同数の場合,m-系列>p-系列で,t-ブチル基の数が増すと,両系列とも堅ロウ度が増大した。m-モノ-体は最高値(8級)を示した。洗タク堅ロウ度は,t-ブチル基が同数の場合,p-系列>m-系列で,t-ブチル基の数が増すと,により両系列とも堅ロウ度が高くなった(最高5級)。ドライ・クリーニング試験は一般に悪く(最高3級),t-ブチル基の導入低下した。
  • 松井 弘次, 大田黒 国彦, 早川 洋典
    1964 年 67 巻 1 号 p. 94-97
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジアゾニウム基を活性化原子団とする反応性芳香族フッ素化合物を用いてセルロース繊維の反応性染色を行なった。
    木綿布をp-フルオルアニリンあるいは4-フルオル-1-ナフチルアミンのジアゾ化により得られるジアゾニウム塩溶液,ついで炭酸ナトリウム水溶液に浸漬,絞り15~40℃に1~2分間放置加温した。このように処理した木綿布はR-,G-,H-,J-,γ-,アセチル-H-,アセチル-J-,アセチル-γ-,フェニル-J-,フェニル-γ-,NW酸やその他のアゾ成分のアルカリ性水溶液に浸漬することにより洗タクに堅ロウに反応性染色された。
    この染色工程を式示するとつぎのごとくなる。
    (CellOH=セルロース繊維,A=アゾ成分)
    色調はジアゾ成分,アゾ成分の組み合せにより,黄~だいだい~赤~茶~紫~青にわたり,繊維-色素間の結合は堅ロウで染色布は酸,アルカリ溶液による煮沸試験,ピリジンを溶媒とする抽出試験に耐えた。
  • 松井 弘次, 添田 美信, 伊佐野 幸市, 栗原 優, 斎藤 達夫, 増田健 次郎, 松井 健
    1964 年 67 巻 1 号 p. 97-102
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    1,3-ジフルオル-4,6-ジニトロベンゼン(I)の2個の活性フッ素原子の階段的な反応性を利用し,遊離第一アミノ基を有する染料あるいは染料中間体と(I)との第1段縮合により1個の活性フッ素原子を残存する一般式
    〓(II)(D=色素成分の基)の新型反応性染料あるいは反応性染料中間体(この場合はついで染料とする)を合成した。合成した染料は次の通りである。
    (i)第一アミノ基を有する色素(水溶性あるいは水不溶性)と(I)との第1段縮合によって得られる染料
    (ii)p-アミノアセトアニリドと(I)との第1段縮合生成物を加水分解して得られる(III)から誘導されるアゾ染料
    〓(III)
    (iii)アンモニアと(I)との第1段縮合により得られる(IV)から誘導されるアゾ染料
    〓(IV)
    ここに得られた料料はアルカリの存在でモメン,ナイロン,羊毛,絹などを化学結合により染色し,染色布は洗タクに非常に堅ロウであった。
  • 山瀬 威郎, 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1964 年 67 巻 1 号 p. 102-105
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    アクリル系繊維と共有結合による染色を行なう,いわゆる反応性染料を合成する前提として,その反応性基に適当と思われるヒドラジノ基を選び,シアン化合物とアリールヒドラジンとの反応について研究した。アセトニトリル,プロピオニトリル,ベンジルシアニドとヒドラジンとの化合物を合成し,その構造を,炭素,水素,窒素分析および赤外吸収スベクトルによって確かめた。さらにポリアクリロニトリルおよびオーロン42とアリールヒドラジン類とを反応させ,その生成物が共有結合していることを確かめ,その構造を推定した。
  • 山瀬 威郎, 保田 昌宏, 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1964 年 67 巻 1 号 p. 106-110
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ヒドラジノ基を有する二,三の染料を合成し,アクリル系繊維オーロン42に対する反応性染料としての適用性,色調,堅ロウ度などを調べた。
    本染料は,アミノ基を有するアゾ染料に塩化シアヌルを作用させ,さらにその活性塩素にヒドラジンヒドラートを反応させて合成するか,あるいは活性塩素を有するアントラキノン染料にヒドラジンヒドラートを反応させて合成した。またあるものはアミノ基を有するアントラキノン染料をジアゾ化,還元,ヒドラジノ化を行なった。二,三の市販のProcinyl染料,Remazol染料をヒドラジンヒドラートでヒドラジノ化した。これらの染料を用いてオーロン42をアセトン,エチルアルコールあるいは水中で染色を行なった。
    このほか,一部の染料についてはヒドラジノ化前の母体染料,ヒドラジンヒドラート,オーロン42をピリジン-水中で同時に反応,染色を行なった。
    未反応染料はアセトンあるいはアルコール抽出により除去した。
    一般にこれらの染料の染色性は非常に良好で,色調は黄,だいだい,赤,紫,青色系統である。堅ロウ度は洗タク,摩擦,日光とも一般にすぐれていた。染料-繊維間の共有結合生成に対する証拠は,染色物がアセトン,エチルアルコール,ピリジンの各溶剤中で抽出されないこと,およびジメチルホルムアミドに溶解させ,水で繊維を再沈殿させる操作をくりかえしても脱色しないことより確認した。
  • 山瀬 威郎, 田中 健彦, 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1964 年 67 巻 1 号 p. 110-114
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    4,6-ジ置換トリアジン型染料において置換基としてI.塩素を有するもの,II.エトキシ基を有するもの,III.p-ニトロフェノキシ基を有するもの,およびIII'.フェノキシ基を有するものを選びこれら4種の置換基の反応性を比較,検討した。

    すなわち,これら4種の置換基を有する水溶性あるいは分散型染料を合成し,絹,ナイロン,ビスコースレーヨンに対する反応性染料としての適用性,色調,堅ロウ度などを調べた。本染料の合成は,I.アミノ基を有するアゾ染料に塩化シアヌルを縮合させ,つぎにアルカリの存在でII.についてはこれをエチルアルコールでエトキシ化,III.についてはp-ニトロフェノールでニトロフェノキシ化,III'.についてはフェノールでフェノキシ化を行なってえた。これらの染料を用いて上述の繊維をアルカリ性あるいは酸性染色後アルカリ処理によって反応させ,未固着染料はソーピングにより除去した。反応固着はIの染料ではいずれの繊維にもきわめて良好であり,II,IIIおよびIII'の染料でもかなりの反応性を示し,とくに含窒素繊維には良好であった。しかし,セルロース繊維上ではIよりおとっていた。反応性は大体において,クロル>p-ニトロフェノキシ>フェノキシ>エトキシの順であった。色調は黄,だいたい,赤,紫色系統である。堅ロウ度は洗タク,摩擦,日光とも一般にすぐれていた。染料-繊維間の共有結合生成の証拠は既報と同様の方法で確かめた。
  • 飯田 弘忠, 飯田 博子, 吉原 憲二
    1964 年 67 巻 1 号 p. 114-118
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    反応性染料を合成するのが目的で,アシル化できるアミノ基を持った水溶性染料に,2-ブロム-2-ブロムメチル無水コハク酸(I)を反応させて数種の染料を合成し,その染色性を検討した。得られた染料を1%,炭酸ナトリウムを4%含む染料水溶液をビスコースレーヨン布にパッドし,140℃に10分間乾熱処理すると,布に吸収された染料の約20%が繊維と結合した。羊毛1部を,0.01部の染料,0.02部の酢酸ナトリウム,0.02部の酢酸,0.1部の硫酸ナトリウムを含む染料水溶液50部中に浸漬し,約100℃に45分間加熱すると,使用した染料の約38%が繊維と反応した。2-ナフチルアミン-7-スルホン酸を水溶液中でIと反応させると,N-(7-スルホ-2-ナフチル)-3-ブロム-3-ブロムメチルスクシンアミド酸を生じた。2-ナフチルアミンをアセトン中でIと反応させると,N-(2-ナフチル)-3-ブロムメチルマレインアミド酸(mp153~154℃)(IV)を生じたが,この反応をクロロホルム中で行なうとN-(2-ナフチル)-3-ブロム-3-ブロムメチルスクシンアミド酸(mp123~124℃)(V)を生じた。またIVまたはVにアニリンを反応させると,N-(2-ナフチル)-3-アニリノメチルマレインアミド酸(mp172~173℃)なる同一化合物を得た。このことはアニリンとの反応の際にV1分子より臭化水素1分子がまず脱離してIVとなり,これがアニリンと反応したことを示している。以上の実験事実から,本実験で得られた反応性染料の主成分は3-ブロム-3-ブロムメチルスクシンアミド酸のN-置換体ではあるが,繊維との反応の際にはこの化合物1分子よりHBr1分子が脱離して3-ブロムメチルマレインアミド酸のN-置換体となり,これが繊維と反応するものと考えられる。
  • 飯田 弘忠, 池上 昭
    1964 年 67 巻 1 号 p. 118-120
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    8-アミノキノリンをジアゾ成分として,8-(2-ヒドロキシナフチル)アゾキノリン(A),8-(2-アミノナフチル)アゾキノリン(B),5-アミノ-6-メトキシ-8,8'-アゾキノリン(C)を合成し,これらを銅錯塩にして染料としての性質を検討した。結果はつぎのようであった。
    1)(B)と(C)は文献未知の化合物で,(B)はmp223~225℃の赤色結晶,(C)はmp276~277℃の赤紫色結晶であった。
    2)これらのアゾ色素にアルコール中で塩化銅(II)を反応させて銅錯塩を合成した。(A)からはC19H12N3O・Cu・Cl・H2O,(C)からはC19H15N5O・Cu・Cl2・H2Oなる組成を持った錯塩を結晶状に得られた。しかし(B)に塩化銅(II)または酢酸銅(II)を反応させると(B)は分解し,錯塩を作らなかった。
    3)このようにして得られた錯塩染料は,色素原子団が陽イオンになっており,ポリアクリロニトリル繊維を堅ロウな美しい色に染めた。
  • 飯田 弘忠, 萬田 栄一郎, 吉川 正直
    1964 年 67 巻 1 号 p. 121-123
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    o-アミノアセトフェノンをジアゾ成分とするアゾ色素とその金属錯塩染料を合成し,それらの性質,構造,染料としての適性を検討した。
    1)1-(20アセチルフェニルアゾ)-2-ナフトール(A),1-(2-アセチルフェニルアゾ)-2-ナフチルアミン(B),1,5-ジ(2-アセチルフェニル)-3-シアノホルマザン(C)を合成した。B,Cは文献未知の新化合物で融点はそれぞれ171.5~172.5℃,163.5~165.5℃である。
    2)A,B,Cの銅およびコバルト錯塩の合成を試みたが,Bのコバルト錯塩以外は十分に純粋な形で単離することはできなかった。元素分析とロ紙電気泳動によりBのコバルト錯塩は1:2型のカチオン錯塩であることがわかった。3)これらの色素,金属錯塩染料はいずれもポリアクリロニトリル繊維に染着するが,金属錯塩染料の耐光堅ロウ度はいずれも4級程度であり,金属処理によって耐光堅ロウ度の改善されたのはCで,A,Bはほとんど変らなかった。
  • 鈴木 博信, 三吉 玲子, 佐野 捷造, 飯田 弘忠
    1964 年 67 巻 1 号 p. 124-128
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    青ないし緑色の新しい1:2型金属錯塩アゾ染料を創出するのを目的として,8-アセチルアミノ-4-メトキシ-1-ナフトールなる文献未記載の化合物をカップリング成分とする5種類のo,o'-ジオキシアゾ色素を合成し,これをクロムまたはコバルトの1:2型錯塩染料として,その染色特性を検討した。結果はつぎのごとくである。
    1)8-アセチルアミノ-4-メトキシ-1-ナフトールは8-アミノ-1,4-ナフトキノンをメタノール中で塩化スズ(II),酸塩化リンと処理して,8-アミノ-4-メトキシ-1-ナフトール(mp130℃,白色針状結晶,ホスゲンによって4-メトキシ-O,N-カルボニル-8-アミノ-1-ナフトールを生成,mp254~255℃,無色針状結晶)とし,これをアセチル化して合成した。mp142.5~143℃,無色針状結晶。
    2)ここで得られた染料で羊毛を染色するとクロム錯塩染料では青,コバルト錯塩染料では紫ないし青色が得られた。これらの染料は色も美しく,諸種の堅ロウ度もすぐれたものであった。
    3)ジアゾ成分として用いたアミノフェノール類の置換基が染料の色に及ぼす影響は一般につぎの順に深色的であった。
    4-Cl<4-SO2NHC2H5,4-SO2CH3<4-NO2
    (置換基の前の数字はアミノフェノール類のOHに対する置換位置をあらわす。)
  • 岡崎 光雄, 小堤 稔, 石川 延男, 遠藤 繁, 山本 嘉昭
    1964 年 67 巻 1 号 p. 129-134
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    色素アミン1個をもったジクロルトリアジニル化合物,またはモノクロルトリアジニル化合物をつくり,これらにピリジンまたはトリメチルアミンを反応して,S-トリアジン環に直接ピリジニウムまたはトリメチルアンモニウム基をもったカチオン染料を合成した。
    ジ・オニウム-トリアジニル染料は不安定で水溶液を加熱するとただちに分解し不溶性化合物となり,染料としてあまり価値がない。しかしモノ・オニウム-トリアジニル染料は安定で溶解性もかなりよく,モメンによく吸着される。
    染色助剤としてカチオン活性剤を使用すると染色物の変色を防ぎ,色調を鮮明にすることができる。また,アクリル繊維を通常のカチオン染料の染色法により濃色に染めることができる。
  • 岡崎 光雄, 小堤 稔, 遠藤 繁, 山本 嘉昭
    1964 年 67 巻 1 号 p. 134-137
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    水溶性基をもたない色素アミンを2,4,6-トリクロルピリミジンと縮合し,ジクロルピリミジニル化合物を合成し,これから得られるピリジニウム,あるいはトリメチルアンモニウム塩を合成した。
    p-クロルアニリノージクロルピリミジニル化合物のトリメチルアンモニウム塩をモデル化合物として,イオン化クロルの分析値よりピリミジル-オニウム化合物の構造を決定した。
    過剰のトリメチルアミンを使用しても得られた化合物はモノオニウム塩であり,2個の塩素原子の内1個はピリミジン環に残ることがわかった。ピリミジニル-オニウム染料の染色性はほとんどトリアジニルーオニウム染料と変らなかった。
  • 市川 光男, 岡崎 光雄
    1964 年 67 巻 1 号 p. 138-142
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アミノアントラキノン誘導体に第四アンモニウム基を導入してカチオン性を与え,オーロン型アクリル繊維用の堅ロウな染料を得ることを目的とした。第三アミノ基をもつアミン類を,キニザリンと縮合して,それぞれ1,4-ビス(置換アミノ)-および1-(置換アミノ)-4-オキシアントラキノンを合成した。これらをクロルベンゼンまたはo-ジクロルベンゼン中硫酸ジメチルで4級化して,それぞれ対応する第四アンモニウム塩を得た。これらの化合物はいずれもオーロン42によく染着し,日光堅ロウ度もすぐれている。色調はオレンジないし緑味青色で,それらの吸収スペクトルは,1,4-置換アントラキノン特有のdouble headed peakを示し,また第三アミノ化合物と第四アンモニウム塩の吸収を比較すると,後者の吸収極大はいずれも短波長側へ移行している。
  • 市川 光男, 岡崎 光雄
    1964 年 67 巻 1 号 p. 142-145
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アミノアントラキノン誘導体に第四アンモニウム基を導入してカチオン性を与え,オーロン型アクリル繊維用の堅ロウな染料を得ることを目的とした。1-クロル-,あるいは1.5-または1,8-ジクロルアントラキノンを第三アミノ基をもつアミン類とそれぞれピリジン中酸結合剤の存在下で縮合して1-モノ置換体,1,5-および1,8-ビス置換体を得た。これらを硫酸ジメチルで4級化して,それぞれ対応する第四アンモニウム塩を得た。これらの化合物はいずれもオーロンによく染着し,日光堅ロウ度もすぐれている。また吸収スペクトルは,一般のアミノアントラキノン類と同様に,1-モノ-,1,5-ビス,1,8-ビス,1,4-ビス置換体の順序に深色になる。また1,5-ビス置換体のε は1-モノ置換体のそれの2倍の値を示した。第三アミノ化合物と第四アンモニウム塩の吸収を比較すると, 後者の吸収極大はいずれも短波長へ移行している。
  • 四宮 知郎, 山田 仁穂
    1964 年 67 巻 1 号 p. 146-149
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    合成繊維用染料として,またアゾイック染料にかわる顕色染料として,4,5-ベンゾチオインドキシル(Snp)あるいは,9-クロル-(6',7')-ベンゾチオインドキシル(SClnp)と6種のイサチン類とを,順次あるいは同時に繊維上に吸着させ,繊維上で両者を縮合発色させて各種繊維を濃厚堅ロウに染色した。Snpとイサチンとの組み合わせでは,縮合色素3-インドール-4',5'-ベンゾチオナフテン-(2')-インジゴとビス-[4,5-ベンゾチオナフテン(2)]-インジゴとの両者を生成するが,前者が両色素量の約70~95%を占め,染法を一定にすると再現性にとむ染色を得る。SClnpとイサチンとの組み合わせではSClnpの酸化縮合色素が多くの有機溶媒に難溶なため,SClnpとイサチンとの縮合色素9-クロル(6',7')-ベンゾチオナフテン(2)-3'-インドールーインジゴのみの染着量を測定した。
  • 三根 隆雄
    1964 年 67 巻 1 号 p. 149-151
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 後藤 信行, 永井 芳男
    1964 年 67 巻 1 号 p. 152-155
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    4-クロルナフタルイミド(I)のN-アルキルおよびN-アリール誘導体としてエチル,n-プロピル,n-ブチル,iso-ブチル,n-ヘキシル,シクロヘキシル,フェニル,o-およびp-トルイル,o-およびp-アニシル,α-ナフチルの12種の誘導体をあらたに合成し,メチル誘導体の場合と同じく,ナトリウムアルコラートを融剤に用いて,ベンゾアントロン(II)との縮合を試みた。アルキルイミドの場合,メチルイミドの場合と同じくベンゾイレンペリレン型の建染染料(III)を得たが,収率は35%以下であり,かつアルキル炭素数の増加に応じて減少した。またアリールイミド類とIIとの縮合では反応温度を上げてもIIIは全く得られず二,三の誘導体とIIとの反応で少量のB型色素を得るに止った。しかしn-ブチルイミドとIIの反応で得られたIII型の染料は,メチルイミドから得られたIIIよりも鮮明度を増し,深色に移行している。
  • 丸出 雄士, 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1964 年 67 巻 1 号 p. 155-159
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    合成繊維用とくにポリアクリロニトリル系繊維用のケイ光増白染料をうるため,当繊維がカチオン型染料によって鮮明に,しかも日光堅ロウに染色されることに着目し,ポリエステル繊維用のケイ光増白染料Unitex ER類の主成分であるα,β-ビス(5-メチルベンズオキサゾリル-(2))-エチレン(A)をカチオン型に導く方法の一つとして,濃硫酸を溶媒としパラホルムアルデヒドとクロルスルホン酸でクロルメチル化し,得られたクロルメチル誘導体を種々の第一アミンおよび第二アミンと縮合して置換アミノメチル誘導体を合成した。これらは固体状,あるいはジメチルホルムアミド溶液でケイ光を示さないが,酢酸酸性で水に可溶となりケイ光を示す。さらに,硫酸ジメチルで4級化した誘導体は水に易溶でありケイ光を有する。これらの化合物でピニロン,アセテート,アミランおよびカシミロンFを染色し,その増白効果,ならびに増白布をカーボンアーク燈退色試験機中で照射して布のケイ光強度の減少を測定することによって耐光堅ロウ性を試験した。ジエチルアミン,ピペリジンおよびα-ピペコリンとの縮合物を4級化した誘導体はアクリル系繊維(カシミロンF)に対して増白効果および耐光性ともすぐれた結果を与えた。
  • 丸山 雄士, 新木 永勲, 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1964 年 67 巻 1 号 p. 159-163
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリル系繊維に良好な親和性を有するカチオン型ケイ光増白染料をうる試みの一つとして,ポリエステル系繊維用のケイ光増白染料Unitex ER類の主成分であるα,β-ビス(5-メチルベンズオキサゾリル-(2))-エチレン(A)を過剰のクロルスルホン酸とともに120~130℃に加熱することによってクロルスルホン化し,これをエチレンイミンと低温で縮合し,ついで各種第二アミンと反応させてN-置換アミノエチルスルファモイル誘導体を合成した。これらは固体状あるいはジメチルホルムアミド中でケイ光を示さないが,酢酸酸性で水に可溶となりケイ光を示す。さらにこれらの誘導体を硫酸ジメチルで4級化した誘導体は水に易溶で,ケイ光を有する。これらの化合物のビニロン,アセテート,アミランおよびカシミロンFに対する増白効果ならびに布上における耐光堅ロウ性を試験した。アクリル系繊維(カシミロンF)に対して,とくに4級塩は亜塩素酸ナトリウムを併用して処理することによって,増白効果および耐光性ともすぐれた結果を与えた。
  • 犬飼 鑑, 細川 研三
    1964 年 67 巻 1 号 p. 163-165
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    10種のトリフルオルメチルアニリンおよびそのクロル,ニトロ誘導体のスルホン酸をジアゾ成分とし,β-オキシナフトエ酸とカップリングさせ,さらに塩化カルシウムおよび塩化バリウムでレーキ化することにより一連の含フッ素難溶性アゾ顔料を合成した。これらの合成条件を検討するとともに,印刷紙および着色塩化ビニルシートを作成して色調,耐光性などの顔料適性を測定し,置換基のこれら適性におよぼす影響について検討を加えた。合成した顔料はいずれも赤色を示し,耐光性,耐油性などは一般に良好であった。
  • 横手 正夫, 芝宮 福松, 東海林 栄
    1964 年 67 巻 1 号 p. 166-168
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    シンコメロン酸(ピリジン-3,4-ジカルボン酸)を尿素,モリブデン酸アンモニウム,無水塩化銅(II)と共に有機溶剤(ニトロベンゼンまたはトリクロルベンゼン)を加えまたは加えない状態で加熱反応させて紫青色の粗製色素を得た。これを精製して紫青色の銅フタロシアニン窒素同構体(銅-テトラ-3,4-ピリジノポルフィラジン)を得,その諸性質を検討した。
  • 番匠 吉衛, 鈴木 茂, 斎藤 イホ, 関口 辰夫
    1964 年 67 巻 1 号 p. 168-173
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    著者らは機械的圧力,および衝撃によるstable型銅フタロシアニンよりmetastable型銅フタロシアニンへの結晶転移を研究した。機械的圧力の影響を調べるために,著者らはstable型銅フタロシアニンを3.3t/cm2~10t/cm2の圧力下にプレスし,赤外吸収.X線回折により結晶転移の過程を観察した。またstable型銅ブタPtシアニンを食塩等の添加剤の存在下(または非存在下に)でボールミルにより摩砕し,生成したmetastable型銅ブタロシアニンを同様な方法で定量した。得られた結果は次のとおりである。
    1)stable型銅フタロシアニンを機械的にプレスすると結晶転移が起こることを発見した。たとえば45分間10t/cm2の圧力でプレスすると,結晶転移を起こして約30%のmetastable 型を生成する。
    2)stable型銅タロシアニンはボールミルで摩砕することによって同様に結晶転移を起こすが,その転移反応は見掛上2次反応として進行する。
    3)ボールミルで摩砕の際に食塩等を加えると転移反応速度は小となる。食塩の量が顔料に対して5倍以上になると,その影響は一定となる。
    4)H3BO3,KBr,NaCl,CuSO4・5H2Oを添加剤として加え転移反応速度への影響を調べたが,添加剤の硬度は摩砕能率,転移反応速度に影響を与えることを確かめた。
  • 番匠 吉衛, 関口 辰夫
    1964 年 67 巻 1 号 p. 172-176
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    銅フタロシアニンはハロゲン化水素酸と反応して塩を生成する性質を有する。本研究はその生成条件を詳細に検討し,また生成物の結合酸成分の定量分析および物理化学的性質等を明らかにした。
    銅フタロシアニンのハロゲン化水素酸塩は氷酢酸,酢酸エチル,無水酢酸等の溶媒中に分散した銅フタロシアニンにハロゲン化水素の水溶液またはガスを作用させる方法により合成した。生成後、使用した分散媒と同じ溶媒で塩を洗浄し,最後に石油工一テル等低沸点溶媒で洗浄したのち減圧乾燥した。次に乾燥した塩を中性または弱塩基性水溶液内で加水分解し,析出する銅フタロシアニンをロ過したのち,そのロ液内に遊離した酸の定量により塩に結合した酸成分の量を算出した。一方,生成物の元素分析の値からもその結合酸成分の量が裏付けられた。得られた結果は次のとおりである。
    1)合成された各塩の安定性は結合する酸成分の種類により異なり,HF塩およびHC1塩は不安定であった。
    2)結合酸成分は次のように決定された… …HI塩4mol比,HBr塩2mol 比,HCl 塩2mol 比(推定値)。
    3)HF塩を分離することは非常に難しいため,その塩に結合している酸成分の量は不明であった。
    4)各塩の赤外吸収は従来測定された他の銅フタロシアニン塩類のように1200cm-1付近に共通の吸収を有した。
    5)各塩の結晶型は一般にmetastable型銅フタロシアニンに類似であった。
  • 番匠 吉衞, 斎藤 イホ, 宮前 照子
    1964 年 67 巻 1 号 p. 177-182
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アントラノールをカップリング成分とするアゾ顔料はほとんど報告されていないので,著者らは代表的な芳香族アミン類をジアゾ化し,アントラノールにカップリングして新しい28種のアゾ顔料を合成した。ジアゾ成分として用いる芳香族アミン類として,酸基を持たないアニリソ誘導体,スルホン酸基,カルボン酸基を持つアニリン誘導体,ベンジジン誘導体,およびアミノアントラキノンが選ばれた。得られた顔料は精製後,その色調,および顔料としての性質が試験された。また簡単なアニリン誘導体から合成された顔料の赤外吸収スペクトルにより,結晶状態における顔料のケト-エノール互変異性を検討した。得られた結果は次のとおりである。
    1)得られた顔料の色は黄色より赤紫色の広い範囲にあり,一般にジアゾ成分に陰性基を持つモノアゾ顔料は浅色で,陽性基を持つモノアゾ顔料は深色である。
    2)不溶性モノアゾ顔料の耐光堅ロウ度は2~3級であるが,レーキ顔料のそれは4~5級である。
    3)不溶性モノアゾ顔料においてジアゾ成分が陰性基を持つときはその顔料の化学構造はキノン-ヒドラゾン型となり,陽性基を持つときはオキシーアゾ型になることが赤外吸収より認められた。
  • 番匠 吉衞, 鈴木 茂, 斎藤 イホ
    1964 年 67 巻 1 号 p. 182-185
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アゾレーキ顔料は有機顔料として非常に重要であり,それらの生産量も大きい。アゾ色素のスルホン酸(カルボン酸)のカルシウム塩,バリウム塩が主としてアゾレーキ顔料として用いられるが,まれにそれらのストロンチウム塩,マグネシウム塩,マンガン塩およびナトリウム塩なども用いられる。用いられるレーキ金属により得られた顔料の性質は異なるが,その関係は顔料化学において非常に興味深い。著者らは7種の代表的アゾ色素スルホン酸(カルボン酸)を,10種類の金属塩(Na,Mg,Ca,Sr,Ba,Mn,Fe,Co,NiおよびZrの塩類)でレーキ化し,69種類のアゾレーキ類を合成し,それらの色調を測定し,光,水,アルカリ,酸,アルコール,油,熱などに対する堅ロウ度を試験した。これらの各試験結果を金属別に整理した後,レーキ化剤としての金属塩の適否を検討した。得られた結果は次のとおりである。
    1)アルカリ土金属でレーキ化されたアゾレーキ顔料の色は深いが,マンガンや第VIII族の金属を持つアゾレーキ顔料は浅色である。
    2)マンガンレーキは耐光性の大きい顔料である。
    3)一般にアルカリ土金属をもつアゾレーキ類は水,アルカリ,アルコール,熱に対して堅ロウであるが,酸,油には弱い。第VIII族の金属をもつアゾレーキ類は逆の関係をもつ。
  • 番匠 吉衞, 斎藤 イホ, 鈴木 茂
    1964 年 67 巻 1 号 p. 186-189
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    リソールレッドはトビアス酸をジアゾ化しβ-ナフトールにカップルして得られる代表的なレーキ顔料の一つである。この顔料は合成条件のわずかな差異により結晶型,大きさ,および形態の非常に違った顔料が得られるが,合成条件と性質の関係についての報告はない。著者らはカップリング浴のpH,加熱温度,およびレーキ化条件を検討し,これらの条件が生成顔料の色調,結晶の形態,粒度に与える影響を調べた。得られた結果は次のとおりである。
    1)pH11以上の条件下でカップリングにより得られた顔料ナトリウム塩の結晶は,カップリング浴中で80℃以上に加熱すると長い針状結晶に成長する。
    2)pH10.5以下の条件でカップリングにより得られた顔料ナトリウム塩の結晶は浴中で加熱しても成長しない。
    3)顔料ナトリウム塩をレーキ化する際,微細なレーキ顔料を得るためには微細なナトリウム塩を用いる必要がある。
    4)微細な顔料ナトリウム塩の色は一般に深色であり,ブロンズ光沢を持つ。
  • 番匠 吉衞, 斎藤 イホ
    1964 年 67 巻 1 号 p. 190-193
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    第5報において著者らはリソールレッド合成の際のカップリング浴のpH,浴の加熱温度が生成する顔料ナトリウム塩の色調,結晶の形,大きさに大きな影響を持つことを報告した。本報では著者らはリソールレッドナトリウム塩の化学構造,同質多晶型などを研究した。
    前報の結果より得られた特徴的な合成条件により性質の異なる8種類の顔料ナトリウム塩が合成され,それらの化学構造,粒度,結晶型などが元素分析,熱天秤,赤外吸収,X線回折,光学顕微鏡,電子顕微鏡等の化学的,物理化学的方法で検討された。
    得られた結果は次のとおりである。
    1)合成条件の相違に関係なく,得られたナトリウム塩はいずれも同一の構造(C20H15O5N2SNa)を持ち,分子内に1分子の結晶水を持つ。
    2)これらの顔料はほぼ同一の赤外吸収を持ち,化学構造の相違は認められなかった。
    3)X線回折により顔料ナトリウム塩の5種類の同質多晶型が見出された。
    4)カップリングpH,浴の加熱温度とナトリウム塩の粒度との関係が明らかになった。
  • 番匠 吉衞, 斎藤 イホ, 生田 裕子
    1964 年 67 巻 1 号 p. 193-197
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    番匠吉衞・斎藤イホ・生田裕子ウォッチアングレッドはCS酸(2-クロル-p-トルイジン-5-スルホン酸)をジアゾ化しβ-オキシナフトエ酸にカップリングしたアゾレーキ顔料であり,普通そのカルシウム-,バリウム-レーキが用いられる。この顔料の製造条件は非常に複雑であるため,その調節がむずかしい。
    著者らは,その困難さの原因が反応条件と生成する顔料ナトリウム塩の化学構造,同質多晶型との関連にあると考え,pH5~13の条件下でカップリング反応を行なった後,カップリング浴を加熱して性質の異なる数種類の顔料ナトリウム塩を合成した。
    得られた顔料の化学構造を元素分析,赤外吸収により調べ,結晶の性質をX線回折,光学-,電子顕微鏡により検討した。また顔料を測色し,色相と結晶転移の関係を調べた。得られた結果は次のとおりである。
    1)pH>7のカップリング条件ではジナトリウム塩,pH<7の条件ではモノナトリウム塩が生成する。
    2)ジナトリウム塩はα-,β'-,β-型の3種の同質多晶型を持ち,α型は30℃以上で第1の転移を経てβ'-型に,β'-型は第2の転移によりβ-型になる。
    3)第2の結晶転移(β'-型→β-型)の温度はカップリング浴のpHに関係し,pHの値の高いほど第2の転移温度は低い。
    4)モノナトリウム塩のα-型は50℃以上でモノナトリウム塩のβ-型に転移する。
    5)顔料の色,粒度分布と結晶転移の間の複雑な関係が明らかにされた。
  • 徳光 隆雄, 原 達朗, 林 隆之
    1964 年 67 巻 1 号 p. 197-200
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アリザリン・ダイレクトブルーA型染料を合成し,これらと染料の合成中間体のペーパークロマトグラフィーにつき研究した。
    酸性染料のペーパークロマトグラフィー用展開剤としてすでに報告されているものの中から,比較的良好な結果を与える展開剤を選んだ。有機概念図によって展開剤および試料の無機性および有機性を計算し比較検討したところ,比較的良好な結果を与える展開剤は有機概念図上の限られた範囲に分布し,しかもこれら展開剤と試料との無機性および有機性の間には一定の関係があった。分配型の展開剤を用いて得られたRf値とこれら試料の無機性/有機性との間には直線関係が成立した。この直線からはずれる値を示した若干の試料があるが,これらの試料ではこの展開剤を用いた場合,かなり吸着型の傾向を帯びた分配型のペーパークロマトグラフィーが起こっていると考えた。
  • 徳光 隆雄, 岡本 実, 林 隆之
    1964 年 67 巻 1 号 p. 201-204
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アリザリン・ダイレクト・ブルーA型染料(I)および関連誘導体を合成し,これらの溶液の可視吸収スペクトルと分子構造との関係を比較検討した。
    Iの可視吸収スペクトルでは,主吸収帯に吸収極大が三つあらわれるものもあったが,これらの数個がつながったブロードな吸収極大を示すものが多かった。このように三つの吸収極大があらわれるのはアントラキノン核の1-位と4-位にそれぞれ電子供与性の大きい異種置換基が結合しており,しかも1-位のアミノ基と2-位のスルホン基との間で水素結合が生成するためであると結論した。また1-アミノ-2-メチル-4-アリルアミノアントラキノン類の2'-および4'-スルホン酸誘導体でも,同様な形式の水素結合を形成し得る前者は二つの吸収極大を示すにもかかわらず,水素結合を形成し得ない後者では吸収極大が一つしかあらわれなかった。Iでは置換基Xの電子論的な効果と吸収極大のshiftとの関係は主吸収帯が複雑な形となるため論じにくいので,前者と主吸収帯全体のshiftとの関係を検討した。
  • 飯田 弘忠, 遠藤 基雄
    1964 年 67 巻 1 号 p. 205-209
    発行日: 1964/01/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    直接染料の水溶液では溶存する染料分子の会合性が大きいので,Lambent-Beerの法則が成立しない場合が多い。このため直接染料の比色定量には,染料分子の会合が起こりにくい溶剤として,一般に250g/lのピリジン水溶液を用いるが,ピリジンは悪臭が強く,実験者の白血球を減少させるなどの毒性もあって,取扱いにくい溶剤である。染料分子の会合防止剤としては,非イオン界面活性剤をはじめ,種々の化合物が有効であると報告されているが,系統的な研究が少なく,ことに直接染料水溶液の比色の際に,これらの化合物がどの程度有効であるか,たとえばピリジンと比較した場合の優劣などについての研究は見当らない。
    そこで,約10種の低分子化合物および約20種の界面活性剤を選び,15種類の直接染料の比色定量における,これらの化合物の効果を検討した。実験方法としては,上記の化合物を適当な濃度に溶かした2×10-5mol/lの染料水溶液につき,食塩を含まない場合の極大吸収波長における吸光度を求めてE0,食塩濃度が50g/lの場合において,E0を求めた波長と同波長の吸光度を求めてENaClとし,Δ=(ENaCl/E0-1)×100であらわされるΔがゼロに近いものほど,効果があると判定した。
    ラウリルアルコールまたはセチルアルコール1molに対して,エチレンオキシド30molを結合させた非イオン界面活性剤がもっとも良い結果を示し,その20g/l水溶液は,250g/lのピリジン水溶液と同程度の効果があった。
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