工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
Print ISSN : 0023-2734
ISSN-L : 0023-2734
脱水リン酸の組成と比重
佐治 孝
著者情報
ジャーナル フリー

1964 年 67 巻 1 号 p. 229-231

詳細
抄録

市販オルトリン酸の加熱脱水によって調製したP2O565~80%の濃度範囲にある脱水リン酸(DPA)について,まずその化学組成をペーパークロマトグラフ法によって検討し,DPA濃度の増加とともにピロ,トリ,テトラの各縮合リン酸も含まれることを確認した。ついでその室温~200℃の温度領域における比重を測定し,これから見積った平均膨張係数,見かけの分子容がいつれもP2O571~72%付近で極小値をとる事実を認めた。これはDPAが緻密な液体構造をとるものと了解され,前報においておこなったこの濃度付近において凝固しやすい特殊な水和物が生成するという推定を裏付ける知見が得られた。さらにこのものの熱分解と関連すると思われる比重-温度曲線上の不連続現象が130℃付近において見出された。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© 社団法人 日本化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top