市販オルトリン酸の加熱脱水によって調製したP2O565~80%の濃度範囲にある脱水リン酸(DPA)について,まずその化学組成をペーパークロマトグラフ法によって検討し,DPA濃度の増加とともにピロ,トリ,テトラの各縮合リン酸も含まれることを確認した。ついでその室温~200℃の温度領域における比重を測定し,これから見積った平均膨張係数,見かけの分子容がいつれもP2O571~72%付近で極小値をとる事実を認めた。これはDPAが緻密な液体構造をとるものと了解され,前報においておこなったこの濃度付近において凝固しやすい特殊な水和物が生成するという推定を裏付ける知見が得られた。さらにこのものの熱分解と関連すると思われる比重-温度曲線上の不連続現象が130℃付近において見出された。
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