工業化学雑誌
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重金属塩-LiAlH4系触媒によるオレフィンの接触水素添加
武上 善信上野 徹
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1964 年 67 巻 1 号 p. 246-253

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抄録

無水重金属塩とLiAlH4との反応によって生成する黒色の物質がテトラヒドロフランに均一に分散し,高いオレフィン水素添加触媒活性を有し,かつその触媒活性がLiAlH4と重金属塩のモル比に依存していることを見出した。塩化鉄(III),塩化ニッケル,塩化コバルト(II),塩化クロム(III)および塩化ロジウム(III)などがLiAlH4と反応したときに生ずる黒色物質の触媒活性について検討した結果,これらの物質の触媒活性は,従来の,グリニャール試薬を用いて合成した重金属水素化物の触媒活性によく対応していることを明らかにした。また,鉄触媒について,反応混合物の変色点,触媒活性の現われ始める点および触媒活性が最大になる点の3点に関して,これらの点に達するまでに消費されるLiAlH4の量とグリニャール試薬の量との間に対応関係があることを示し,さらに,鉄触媒の保有水素をジエチルケトンまたはスチレンへ導入させ,その還元生成物を定量してこの鉄触媒の主体は鉄水素化物であると結論した。

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