工業化学雑誌
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臭化銀乳剤中における保護コロイドとしてのポリビニルピロリドンの挙動
杉浦 正昭藤井 悦男
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1964 年 67 巻 1 号 p. 268-271

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抄録

ポリビニルピロリドン(PVP)溶液に硝酸銀および臭化カリウムを添加して生成した臭化銀をエマルジョンとして分散させた場合,その分散状態はPVP,硝酸銀および臭化カリウム溶液のそれぞれの濃度により大きな影響を受ける。特に分子量の大きいPVPの濃厚溶液中では臭化銀はよく分散されず,かえって希薄溶液の方が分散されやすい。また硝酸銀あるいは臭化カリウム溶液の一方の濃度を変えて乳化を行なうと,臭化銀の分散状態は両液の当量点付近で最もよい。同一PVPで金ゾルに対する保護効果を測定したが,PVPは他の親水性ポリマーと比較して金コロイドをよく保護し,特に分子量の大きいほどPVP保護効果は大きい。
PVPは臭化銀に対して,ゼラチン乳剤にみられるような疎水粒子表面のイオンとポリマーが強い結合力によって保護皮膜を形成するのではなく,比較的弱いVan der Waals力により定着保護するものと思われる。

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