工業化学雑誌
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ジエチルビニルホスホネートと芳香族ジアゾニウム塩の反応
和田 康夫小田 良平
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1964 年 67 巻 12 号 p. 2093-2095

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抄録

α,β-不飽和カルボニル化合物と芳香族ジアゾニウム塩を塩化銅(II)の存在下に反応させると,不飽和基にアリール基と塩素原子が導入される。この反応はMeerwein反応として知られているが,これまでα,β-不飽和ホスホネートと芳香族ジアゾニウム塩の反応に関する研究は全く行なわれていない。本報告においては,ホスホネート基がカルボニル基と同様にα,β-不飽和二重結合を活性化するものと考え,ジエチルビニルホスホネートと二,三のジアゾニウム塩の反応を行なった。
ベンゼンジアゾニウムクロリド,P-クロルベンゼンジアゾニウムクロリドおよびP-ニトロベンゼンジアゾニウムクロリドから, それぞれジエチル- α - クロル- β - フェニルエタンホスホネート, ジエチル- α - クロル- β - ( P - クロルフェニル) エタンホスホネート,およびジエチル-P-ニトロスチリルホスホネートが得られ,α,β-不飽和ホスホネートもα,β-不飽和カルボニル化合物と同様にMeerwein反応を行なうことが確かめられた。
また,生成物を脱ハロゲン化水素して得たビニル化合物を過マンガン酸カリで酸化することにより,いずれも安息香酸誘導体のみが得られギ酸, およびホルムァルデヒドは検出されないこと, ならびにN M R スペクトルによりアリール基の付加は,β-位の炭素に起こることをも確認した。

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