工業化学雑誌
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アクリル繊維の研究-高温浴における凝固糸の脱溶媒現象に関する考察(溶媒延伸について)
竹田 弘加藤 明憲
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1964 年 67 巻 8 号 p. 1285-1289

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抄録
溶媒-水系凝固浴を用いた湿式紡糸において(溶媒としてジメチルスルホキシドを使用),凝固浴で形成された糸条を引続いて高温浴へ浸漬した場合の凝固糸の脱溶媒現象について検討し,次の結果を得た。
1.凝固糸中の溶媒の拡散定数は,1.60×10-6cm2・sec-1から2.60×10-6cm2・sec-1の間であり,その活性化エネルギーは,0.9kcal・mol-1から2.4kcal・mol-1程度である。浴の溶媒濃度が高く,浴温の上昇によって凝固糸の膨潤性が大きくなるような場合,溶媒の拡散定数は大きくまた活性化エネルギーも大きい。
2.凝固糸中の脱溶媒過程における溶媒濃度分布に関して,糸条半径の変化を考慮した数値計算を行ない,その濃度分布の推定を行なった。これは円筒拡散方程式で半径が変化する場合の数値計算法として利用できる。
3.繊維性質の延伸による変化を高温浴における脱溶媒現象との関連性のもとに調べた。平均の速度勾配をパラメーターとして検討してみると,強伸度的性質の変化は平均の速度勾配の影響をほとんど受けず,延伸倍率に強く依存することがわかる。
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