工業化学雑誌
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ナッタ触媒によるプロピレンの重合における各種不飽和炭化水素添加の影響
弘岡 正明
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1965 年 68 巻 12 号 p. 2476-2481

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抄録

トリエチルアルミニウム- 塩化チタン(III)触媒によるプロピレンの重合反応において,各種の不飽和炭化水素化合物を加えてその影響を比較検討した。これらの研究から,モノオレフィン化合物は顕著な影響を与えないが,ジエン類,アセチレン類は微量の添加で著しく重合を阻害することがわかった。阻害作用の大きさはプロパジエンが最も大きく,メチルアセチレン, アセチレンがこれにつぎ, ブタジエンがこれらの中で最も小さい。これらの阻害作用は一時被毒であり,回復する。この阻害作用の大きさと速度の回復の速さとの間には相関性はなく,各成分に固有である。一方,添加成分によって重合が実質的に禁止されているような阻害の大きな条件下で,微量生成する重合体はプロピレンを主体とするものであることが認められた。これは重合の阻害が添加成分の独占的な重合によるものでないことを意味する。これらの重合の阻害の機作を共重合反応の概念で説明しようと試みたが,生長反応の速度恒数の関係からは十分解釈できないものと考えられた。

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