ビニルエステル気相合成触媒の一成分として使用される活性炭に,真空中又は空気中で,γ 線または電子線を前照射したのち,亜鉛塩を担持させて,ビニルエステル合成用の触媒として使用した。このとき,ビニルエステル合成能が著しく増大し,照射線量は107~108rが適当であることが認められた。
この範囲の前照射で,活性炭のカルボニル基量及び酢酸亜鉛吸着能は殆んど同じ程度に増大し,その増加の程度はビニルエステル合成能の増加割合の約半分に相当する。活性の増大は,主として,活性炭上の電子密度の高い点の照射による増大と,それに基く,化学吸着亜鉛塩の増加に基くことが推定されたが,更にこれ以外の活性増加の要因が前照射により誘起されたものと考えられる。照射により活性炭上の不対電子量も増大し,酢酸亜鉛の活性炭への吸着によって,活性炭上の不対電子量が減少することから,不対電子も触媒活性に何等かの働きをもっているものと推定された。
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