工業化学雑誌
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アントラセンの接触水素添加および競争水素添加
日比野 脩安井 博越智 英夫
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1966 年 69 巻 1 号 p. 91-94

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抄録

アントラセンをベンゼンまたはシクロヘキサン溶液とし,ラネーニッケル触媒を用いて加圧水素添加を行なった。その結果,アントラセンは20~30℃ の温度で容易に水素化物を与えることが判明した。また,この水素化物組成の経時的変化から,アントラセンは(1)9,10-ジヒドロ体経由,(2)1,2,3,4-テトラヒドロ体経由の二つの径路によって水素添加されるが,(2)の径路の方が(1)の径路よりも優勢であることが明らかにされた。このことは,さきに報告したフェナントレンの水素添加の径路と比較すると,フェナントレン,アントラセンのいずれの場合も前述の(1),(2)の径路にしたがって水素添加されるが,フェナントレンの場合は(1)の径路が優勢である点,両者の相違が認められる。次に,アントラセンとナフタリン,アントラセンとフェナントレン,アントラセンとフェノールおよびアントラセンとピリジンの各2成分混合系を用いて競争水素添加を行ない,これらの化合物の水素添加の難易順を決定した。この結果と,さきに報告した結果とを総合して,競争水素添加からみた水素添加の難易順は,次のとおりになることを明らかにした。
キノリン≒ イソキノリン> ピリジン> アントラセン> ナフタリン> フェナントレン> フェノール> ベンゼン

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