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松下 寛
1966 年69 巻1 号 p.
1-6
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
ガラス電極のアルカリ誤差に関する特性定数を定量的に表現するために,従来報告されている半経験式または経験式の適用性について検討した。計算に使用した式は,Jordanの式,Eisenmanの式およびSchwabeの式である。
これらの経験式は,いずれも先に著者が報告した理論式の近似または特殊な場合に相当することを明らかにした。EisenmanおよびSchwabeの式によれば,アルカリ誤差を比較的よい精度で計算することはできるが,これらの式は特殊な条件を前提にしたものであるため,これらの式から求めた特性定数がアルカリ誤差を厳密に代表するものであるとするのは問題であった。単なる近似によってえられるJordanの式は,アルカリ誤差の小さい範囲でよく成立した。これら三つの式の前提条件および適用性から検討した結果,実用上は,アルカリ誤差をJordanの定数およびイオン交換平衡定数で表現するのが合理的と考えられる。
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渡辺 憲一, 片岡 和雄, 平位 隆二, 津山 敦直
1966 年69 巻1 号 p.
6-8
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
塩化チタン(IV)と酸素を1100~1300℃ の温度で,気相で反応させて得られた,主としてアナターゼ型の酸化チタン(IV)をルチル型に加熱転移する際に,種々の無機金属化合物,塩化物,硫酸塩,金属粉,酸化物を添加してその効果について調べた。試料に添加物を加え,メノウ乳鉢でよく混合し,750,800℃ で1,2,3時間加熱処理して得られた試料のルチル含量をX線回折で求めた。試料の生成条件のわずかな相違でアナターゼ型からルチル型への転移に難易を生ずる。促進剤は一定量以上加えても効果は著しく増大しない。促進剤として作用するものはCu,Zn,Mn,Co,Feの化合物で,これらは転移を起こし易い試料の場合にその効果は特に著しい。抑制剤として作用するものはNa , Pb , Mo , Al の化合物であった。
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宮崎 秀甫
1966 年69 巻1 号 p.
9-11
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
一般に半水セッコウは,α型とβ型の二型に区別され,その物性上の相違が種々報告されているが,いまだその本質的な差異は明確にされていない。この本質的な差異を明確にする一助として,それらの熱特性を示差熱分析とX線回折によって検討した。その結果,示差熱分析曲線上の発熱ピークの指示温度はα型とβ型とで異なり,しかもα型の発熱ピークはその脱水吸熱現象に随伴して起こるが,β型の発熱ピークはそれとは独立に一定温度で生じることを明らかにした。この発熱ピーク前後の結晶相をX線回折により検討すると,α型,β 型いずれの場合もIII・CaSO
4からII・CaSO
4への転移が認められるが,その転移の開始温度および完了温度に明らかな相違を認めた。また昇温振動法X線回折によりその転移過程をIII・CaSO
4の回折線強度の減少割合からみると,α型,β型いずれもその転移過程に不連続部が現われ,2段階に転移することが推測され,α型はその第1段の転化率が大きく,β型は第2段の転化率が大きいことを認めた。
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安藤 淳平, 松野 清一, 西山 秀作
1966 年69 巻1 号 p.
12-16
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
ガフサ,コシア,モロッコ,フロリダ,トーゴー,タイバ,マカテア,コラなどのリン鉱石について,塩酸,硝酸,リン酸,硫リン酸混酸などによる分解性を比較検討した。これらのリン鉱石の主体であるアパタイトの結晶の大きさは,鉱石により0.05μ 程度のもの(ガフサ)から100μ 近いもの(コラ)までさまざまである。塩酸および硝酸による分解は一般に速かであり, 鉱石による分解速度の差は主としてアパタイト結晶の大小にもとづく。リン酸による分解は初期にはかなり速かであるが,高分解率にはなかなか達しない。硫リン酸混酸による分解の場合は,分解初期にはアパタイトの結晶の大小が分解率に強く関係するが,反応の進行とともに鉱石粒子表面にセッコウの皮膜を生じてこの影響が強くなり,その上鉱石中の炭酸ガス,酸化鉄,アルミナも分解に影響するので複雑である。硫リン酸混酸による90℃ 分解と60℃分解とをくらべると,反応速度は90℃ の方が大きいが,セッコウ皮膜の影響は60℃ の方が少ない。従って一般に分解初期には90℃ の場合が分解率が高く,分解時間が長い場合あるいは鉱石の粒度が粗い場合は60℃ の場合が分解率が高くなる。焼成による分解性の変化についても検討を行なった。
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天野 隆司, 大門 信利
1966 年69 巻1 号 p.
17-20
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
著者らはルツボ引下法に種結晶を用いて,フッ素金雲母の育成を行なっている。炭素ルツボを用いた場合に,未溶融の種結晶の劈開面上に気相成長によると思われる渦巻模様を見出した。本報告は気相から雲母結晶を育成し,渦巻模様を観察することを目的としている。白金ルツボに雲母結晶を挿入して密封し,加熱して下部のみを溶融した。溶融体から発生した蒸気を上部の低温部にある種結晶の上に成長させた。あらかじめ壁開面に銀を蒸着して位相差検鏡したものを銀をとり除いて種結晶に使用し,気相成長後再び銀を蒸着して観察した。溶融位置付近には,二次元成長を示す模様のみが見られ,渦巻模様は見られなかった。種結晶上に五角形状,六角形状の丘およびこれらの渦巻模様が見られた。五角形状,六角形状の丘は渦巻成長機構により生じた電のと思われる。六角形状の渦巻模様からは新らしい多形が期待される。種々の渦巻模様が存在し,渦巻層の厚さは数百Å の厚いものもあった。
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奈良 賢一, 中垣 正幸, 真鍋 修, 檜山 八郎
1966 年69 巻1 号 p.
20-23
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
スルファミドを180~200℃ に加熱すると,これまで知られていたトリスルフィミドのNH
4塩(NH
4・NSO
2)
3(I)のほかにトリスルファミドのNH
4塩H
2NSO
2(NNH
4SO
2)
2NH
2(II)が生成することを見出した。その際,短時間の反応では(II)が主として生成し,時間とともに(I)が増加する。また(II)は長時間の加熱により(I)に転移する。これらの事実よりスルファミドの加熱変化の過程を検討した。(II)より遊離のトリスルファミドH
2NSO
2(NHSO
2)
2NH
2(III)およびその金属塩(Ag,BaおよびK塩)を合成した。(III)はmp186~187℃ の二塩基性酸であって,赤外スペクトル,X線回折測定をおこない,その性質をしらべた。また(III)を加水分解すると定量的に1molのスルファミドと2molのスルファミン酸が生成することを明らかにした。
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神谷 精吾
1966 年69 巻1 号 p.
24-27
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
弱塩基性の第二アミンAmberlite L A - 2 のケロシンおよびベンゼン溶液を用いて種々なる組成の水溶液からバナジウム(V)を抽出し,次の結果を得た。
3mol/l以上の塩酸溶液からバナジウム(V)はよく抽出され,ケロシン溶液では6.5mol/lで80% ,ベンゼン溶液では8mol/lで85%の最大抽出率が得られるが,同時に一部V(V)の還元が起こる。1mol/l以上の硫酸溶液からはV(V)は抽出されない。
pH領域からの抽出では,一般に抽出によって水相のpHが変化するが,LA-2の塩酸塩および硫酸塩のケロシン溶液によりそれぞれpH2.5~9および2.8~13の範囲の水相から95%以上の抽出が可能である。平衡時のpH値2.7~2.8において相比(a/o)5.5~7.5の場合の分配比は3.3×10
2であった。水相のV(V)の初濃度が10m mol/l程度以下になると抽出率は低下するが, 10 ~ 150 m mol/l の間では初濃度による抽出率の変化は小さい。
pH領域から抽出されたV(V)は水酸化ナトリウム,炭酸ナトリウム,アンモニア水などのアルカリ溶液によって容易に逆抽出されるが,硫酸や食塩水による逆抽出は困難である。
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荒木 邦夫, 柳井 弘
1966 年69 巻1 号 p.
28-30
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
木炭に濃硫酸を温度100,150,210℃ で作用させ,反応進行に伴なう生成物の交換容量を測定して,木炭から交換物質製造の条件を検討した。
その結果,木炭を濃硫酸中で加熱すると,スルホン基が導入され,酸化によりカルボキシル基が付加され,木炭の炭化度の低いものほど,カルボキシル基(弱酸交換基)含有率は増加するが,スルホン基(中性塩分解基)含有率はあまり増加しないことがわかった。本実験条件では,中性塩分解容量は比較的短時間で一定値に達するが,弱酸交換容量は反応時間,反応温度の増加にしたがって増加し,とくに温度による影響が著しい。またスルホン化と酸化の両反応は併発的におこることが認められた。
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谷森 修平, 阿部 要, 戸張 真臣
1966 年69 巻1 号 p.
31-36
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
赤外吸収スペクトルを用いて洗剤中の非イオン活性剤の組成を分析する方法について検討した。非イオン活性剤としては,アルキルフェノール(C
8,C
9,C
12),ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物および脂肪酸エタノールアミド(モノ-,ジ-)を選んだ。溶液法(四塩化炭素)はエタノールアミドで固定セル面が汚されるため実用的でない。よって種々検討した結果, ラウロニトリルを用いる内部標準サンドイッチ法が適当であることを見出した。アルキルフェノール非イオン活性剤のエチレンオキシド量は, エチレンオキシド1 mol 付加物を親油基と見なしてエチレンオキシド量を算出することより,高級アルコール非イオン活性剤と同一の検量線を用いることができた。アルキルフェノール系非イオン活性剤とエタノールアミドの混合物では,後者が約40%以下であればそれぞれの大略の定量が可能である。
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平佐 勝義, 野口 勇
1966 年69 巻1 号 p.
36-41
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
エチレンの酸化反応に対して活性な銀を不活性な電解銀粉末と混合し,成形した銀触媒に関して,触媒の調製条件および寿命試験について検討を行ない,次の結果を得た。(1)使用する電解銀粉末粒度は-50+100メッシュが適当で,良好な機械的強度を有し,触媒性能も反応抑制剤を使用せずに選択率70%以上を示した。(2)活性銀含有量は25~35wt%が最適である。(3)触媒成形時の圧縮比はほとんど選択率には影響を及ぼさず,転化率に関しては圧縮比が大になるに従って減少する。触媒の機械的強度も考慮に入れて圧縮比1.70前後で成形するのが適当である。また,触媒の粒径は5mmφ が適当である。(4)熱処理により選択性を向上させるには,含酸素ガス雰囲気である必要があり,水素ガスおよび窒素ガス中で熱処理を行なった場合には,ほとんど選択率が向上しないことが明らかになった。(5)約5ヵ月間昼夜連続で寿命試験を行なった結果,触媒性能はこの期間を通じて反応温度205℃で,選択率66~73%,転化率32~47%の良好な性能を保持した。
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平佐 勝義
1966 年69 巻1 号 p.
41-44
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
活性銀粉末を,窒素中で吹飛して製造したアルミニウム粉末と混合し,成形した形式の酸化エチレン合成用銀触媒を開発し,触媒の調製条件および寿命試験について検討を行ない,次の結果を得た。(1)使用するアルミニウム粒度は-100+200メッシュが良好な成績を示し,これより細かいものは選択率が低下する。(2)活性銀含有量は25~40wt%の範囲が適当で,選択率70%程度を示す。(3)触媒成形時の圧縮比が大きいほど,選択率が良好であることが判明した。(4)触媒性能は反応ガス中で400~450℃ 程度で熱処理を加えることにより,選択性を向上させ得ることが判明した。(5)約5カ月間,昼夜連続で寿命試験を行なった結果,5カ月後においても選択率65%,転化率30%程度の良い性能を保持することが判明した。
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平佐 勝義, 平山 利治
1966 年69 巻1 号 p.
45-51
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
活性銀-電解銀粉末混合触媒を用いて,エチレンの気相酸化による酸化エチレン合成実験を触媒層長55cmにおいて,反応圧力を最高20kg/cm
2まで上昇させ,かつ空間速度を大にして行なった。高圧,高流速にすることにより選択率は常圧の場合に比してほぼ同程度か,またはやや高めの値が得られ,転化率に関しては,5000~6000hr
-1程度の空間速度が用いられることが明らかになった。また,高圧下での酸素濃度の影響を検討した結果,酸素濃度を減少させると,酸化エチレンへの選択率は減少しないが, 転化率はかなり減少することが判明した。
さらに実験結果を解析して経験的な反応速度式を求めた。この式において,反応速度は圧力の0.30乗,酸素濃度の0.22乗,エチレン濃度の2.26乗に比例することを示した。この式から求めた反応速度定数の温度変化より活性化エネルギーを算出し, 20.6 kcal/mol を得た。
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平佐 勝義, 野口 勇
1966 年69 巻1 号 p.
52-54
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
当社独自の銀触媒を用いた気相空気酸化による酸化エチレン合成の工業的中間試験規模の反応塔(多管式反応管の内1本のみについて試験する装置,すなわち単一管反応装置,長さ3m,内径24mm)を試作し,予備的実験を行ない次の結果を得た。
(1)長さ3mの単一管反応装置を用いて,最大圧力20kg/cm
2,最大空間速度5000hr
-1にて合成反応を行なったが,その結果は小規模実験で得られた結果とほとんど変化はなかった。
(2)反応ガスを用いて触媒を熱処理する場合の処理温度は触媒層長の短い場合にくらべて低温度でよく300℃ 前後である。
(3)触媒層温度分布については,最高温度と入口温度との差は層長が短い場合にくらべて大になり,かつその位置は入口に近い方にある。
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平佐 勝義, 野口 勇, 平山 利治
1966 年69 巻1 号 p.
55-58
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
酸化エチレン合成法の工業的中間試験の目的で,全長3mの単一管反応装置を使用して,酸素濃度を変化させた場合および酸素濃度を減少させ,かつ炭酸ガス濃度を増加させた実際的な原料ガスを用いた場合について反応圧力20kg/cm
2で合成反応を行ない,ガス組成と触媒性能との関係を求め,工業的反応装置の第1次反応塔に本触媒を用いた場合の反応条件を求めると次のようになる。エチレン濃度4%,反応圧力20kg/cm
2,空間速度5000hr
-1,酸素濃度10%,炭酸ガス濃度5%,反応温度(最高)260℃ において,選択率70~68%,転化率31%。また反応速度式として圧力項,酸素濃度項,炭酸ガス項をふくむ実験式を触媒層長の短かい場合の結果をもとにして求め,これを単一管反応装置の実測値と比較した結果,空間速度が大きい場合は実測値の方がかなり大きい転化率を示すことが判明した。
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尾崎 萃, 宮崎 泰之資, 佐藤 雄司, 大木 楠雄
1966 年69 巻1 号 p.
59-63
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
エチレンとアンモニアからのアセトニトリル合成について, 各種酸化物, 各種硫酸塩の活性を試験した結果, 活性な触媒は一般に酸性であるとの結論を得た。それらのうち,アルミナは最も活性がよく,640℃ において最高単流収率29%(エチレン基準)を得た。しかし,600℃ 以上の高温では生成アセトニトリルから青酸への分解が著しくなるので,反応エチレン基準の収率は低下する。プロピレンを原料とする場合の反応は次式で起こることがわかった。C
3H
6+NH
3=CH
3CN+3H
2+C
また動力学的な検討の結果, エチレン, プロピレンに共通の速度式γ=
kPOPA / (1 +
bPA)
2 が適合し, 酸触媒反応として説明された。
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張 金海, 板橋 国夫
1966 年69 巻1 号 p.
63-66
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
ドデカン酸および関連化合物を各種金属硫化物および酸化物触媒の存在下において300,350℃ で水素化分解し,n-ドデカンの収率と開裂の径路を検討した。
硫化モリブデン触媒はもっとも高い水素化活性を示し,n-ドデカンの収率はほぼ90%に達したが,ニッケルやコバルト硫化物触媒ではn-ウンデカンが主生成物であった。酸化物触媒はほぼその中間の結果を示した。n-ウンデカンの生成径路をたしかめるため,ドデカン酸をそれぞれの触媒の存在で窒素加圧下にオートクレーブ中で加熱した結果,300℃ 以上で炭酸ガスとその量に対応してn-ウンデカンが生成することがわかった。従って,水素化分解反応において触媒が活性な場合は水素化が優先してn - ドデカンを生じ, 脱炭酸が優先する場合はn - ウンデカンを生ずるものと推定される。
関連化合物の水素化において,一般に含窒素化合物は含酸素化合物に較べてやや水素化され難いが,n-ウンデカンの副生率は少なかった。反応性はアルコール>酸>メチルエステル>ニトリル>アミン>アミドの順位であった。
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丹治 日出夫, 天野 杲, 徳久 寛
1966 年69 巻1 号 p.
66-71
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
流通法により,反応温度661~722℃,滞留時間0.49~8.25秒,水素対シクロペンタンのモル比3の範囲で,常圧下においてシクロペンタン単独ならびに
n-セタンを3 ~ 6 mol % 添加した場合のシクロペンタンの熱分解反応が研究された。
n-セタンが存在しないときの反応初期の生成物分布はメタン2,エチレン35,プロピレン21,水素23,シクロペンテン16 , シクロペンタジエン3 各mol であり, これより環開裂反応に65.5 % , 脱水素反応に34.5 % 分配されていることが知れた。総括反応および脱水素反応は1次であり,総括反応の活性化エネルギーおよびA-因子は62.3kcal/mol,2.64×10
13sec
-1,脱水素反応のそれは56.5kcal/mol, 2.27×10
11sec
-1と観測された。
n-セタンの添加によって,シクロペンタンの環開裂反応および脱水素反応がほぼ同程度加速されたが,シクロペンテンの2次的な脱水素反応に対する
n-セタンの促進作用は認められなかった。以上の実験事実から,シクロペンタンの環開裂反応および脱水素反応の機構は,いずれも単分子的分解によらないものと推定される。
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内山 正夫, 天野 杲
1966 年69 巻1 号 p.
71-73
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
シクロヘキセンの熱分解反応C
6H
10⇔C
2H
4+C
4H
6が2 次的な反応2C
4H
6⇔C
8H
12をともなうものとして, 種々の反応条件における生成物分布を電子計算機を用いて算出し, 既報の実験結果と比較した。
計算の結果,エチレンとブタジェンの生成量の差は,反応温度が低いほど,シクロヘキセンの初圧が高いほど,またシクロヘキセンの転化率が大きいほど顕著になることがみいだされた。
実験結果はその傾向において上の計算に一致するが, 実際に観測されるエチレンとブタジエンの生成量の差はきわめて大きい。したがってシクロヘキセンの熱分解においてブタジエンの生成量が少ないことは,ブタジエンの2量化反応だけでは説明できない。
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井本 立也, 原納 淑郎, 矢野 元威, 古茂田 瞭三
1966 年69 巻1 号 p.
73-77
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
静置循環法を用い, 表題の反応をおこなった。固体試料としてフェノールカリの0.5 水塩ならびに無水塩を用いた。二酸化炭素ガス初圧は670~690mmHg,反応温度80~180℃,流速3~12ml/secである。二酸化炭素ガスの圧力減少速度は,二酸化炭素ガス圧の1次に比例し,反応管壁に付着した試料の膜厚に無関係であり,界面化学過程に律速される。0.5水塩と無水塩との間に大差は認められなかった。
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水田 政輝, 鈴木 暁生, 石井 義郎
1966 年69 巻1 号 p.
77-79
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
α,β-不飽和カルボニル化合物とオレフィン類との1,4-付加反応の反応機構を明白にする研究の一環として,反応速度に対する溶媒の影響をしらべた。その結果,一般的な溶媒効果はないが,分子内に活性水素を持つ溶媒を使用すると反応速度が増大することを認めた。この結果より反応機構を考察した。
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水田 政輝, 荒木 弘昭, 石井 義郎
1966 年69 巻1 号 p.
79-81
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
α,β-不飽和カルボニル化合物とオレフィン類とが酸の存在下で1,4-付加反応してジヒドロピラン化合物を作る反応の機構を明白にするため,シンナムアルデヒドと種々のオレフィン類を酸の存在下で反応させ,反応速度を測定した。その結果,オレフィン類のプロトン受容性が反応性に大きく影響した。すなわち酸の添加により,プロトン受容性の強いオレフィン類を使用したときは酸を添加しないときと比較すると反応速度は減速し,弱いものを使用すると加速することが判明した。
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福井 行正, 岡 日出男, 石井 重吉, 平井 健司, 高橋 敏郎
1966 年69 巻1 号 p.
82-86
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
シリカアルミナ触媒を使用し,過剰の水蒸気の存在下で各種の1,1-ジアリールエタン類(DAE)を接触分解してその反応速度を測定した。反応温度300~500℃ の範囲で分解を行なった結果,反応率の低い領域では反応速度は未反応DAE分圧の1 次に比例し, この反応のみかけの活性化エネルギーはいずれも11 ~ 15 kcal / mol であった。また各種のD A E 分解の相対反応速度を比較した結果, アルキル置換基を持つD A E では, 1 , 1 - ジフェニルエタン< 1 , 1 - ビス( 4 - エチルフェニル) エタン< 1, 1 - ビス( 4 - メチルフェニル) エタン< 1 , 1 - ビス( 2,5 - ジメチルフェニル) エタン< 1 , 1 - ビス( 3,4 - ジメチルフェニル) エタン< 1, 1 - ビス( 2,4 - ジメチルフェニル) エタンの順序で分解速度が増加することを認めた。これは各種D A Eへの塩化水素ガスの溶解度測定結果から得た塩基度とよい相関性を示している。
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丸山 雄士, 川合 昌路, 黒木 宣彦, 小西 謙三
1966 年69 巻1 号 p.
86-90
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
1,3,5-トリフェニル-2-ピラゾリン誘導体の構造とケイ光スペクトルの関係を考察し,1-フェニル基のp-位に親核性基を,また3-フェニル基の
p-位に親電子性基を有する場合ケイ光極大は長波長側に移り,反対に1-フェニル基に親電子,3-フェニル基に親核性基を導入することによってケイ光は短波長側に移され,前者はとくにその傾向がいちじるしいルという事実を見いだした。このことが,ピリジン環を有するカルコンとアリールヒドラジンとから合成された3-(2-メチ-5-ピリジル)-1,5-ジフェニル-2-ピラゾリン誘導体においても成立することを確認した。これらピリジン環を有するピラゾリン類はテトロンおよびポリプロピレンに対しては染着性が低く,カシミロンF上では黄色に着色して増白効果を示さない。アセテートおよびアミランに対しては増白効果を有するが,ケイ光極大が一般に長波長側にある。しかしながら1-フェニル基のp - 位にカルボキシル, メトキシカルボニル, スルファモイルなどの親電子性基を導入することによってケイ光は短波長側に移り良好な増白効果を示すようになった。カーボンアーク灯退色試験機で照射して耐光堅ロウ性を比較したところ,メトキシカルボニル基を持った誘導体はアミラン上で耐光性は劣るが他のものは比較的良好な結果を示した。
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日比野 脩, 安井 博, 越智 英夫
1966 年69 巻1 号 p.
91-94
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
アントラセンをベンゼンまたはシクロヘキサン溶液とし,ラネーニッケル触媒を用いて加圧水素添加を行なった。その結果,アントラセンは20~30℃ の温度で容易に水素化物を与えることが判明した。また,この水素化物組成の経時的変化から,アントラセンは(1)9,10-ジヒドロ体経由,(2)1,2,3,4-テトラヒドロ体経由の二つの径路によって水素添加されるが,(2)の径路の方が(1)の径路よりも優勢であることが明らかにされた。このことは,さきに報告したフェナントレンの水素添加の径路と比較すると,フェナントレン,アントラセンのいずれの場合も前述の(1),(2)の径路にしたがって水素添加されるが,フェナントレンの場合は(1)の径路が優勢である点,両者の相違が認められる。次に,アントラセンとナフタリン,アントラセンとフェナントレン,アントラセンとフェノールおよびアントラセンとピリジンの各2成分混合系を用いて競争水素添加を行ない,これらの化合物の水素添加の難易順を決定した。この結果と,さきに報告した結果とを総合して,競争水素添加からみた水素添加の難易順は,次のとおりになることを明らかにした。
キノリン≒ イソキノリン> ピリジン> アントラセン> ナフタリン> フェナントレン> フェノール> ベンゼン
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村上 謙吉, 浅田 泰司, 上野 拓, 高橋 弘毅
1966 年69 巻1 号 p.
95-99
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
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一般に無定形高分子は,一定限界内の応力下では,線型粘弾性が成立することは周知の所である。しかしなでら,応力緩和実験開始時における装置の零点調節を,再調整なしで行なう時は(以後δ 補正法と呼ぶ),得られる応力緩和曲線(log
Er(
t)~log
t)は延伸率の影響があらわれ,あたかも非線型のごとく挙動することが明らかとなった。著者らはこの根本原因を解明し,バランス方式緩和測定における不可避的な誤差δを導入することによって,真の応力緩和曲線と見かけの応力緩和曲線との差違,Δlog
Er(
t)が次式(1)または(2)によって示されることを理論的に導き,かつδaまたはδbを求めるための式(3)または(4)を導いた。
(3)または(4)式を利用して実験的に求めた応力緩和曲線からδ 値を求め,これから真の応力緩和曲線を計算によって求めた。この真の曲線は再調整を行なって実測した(δ 補正法でない)応力緩和曲線とほとんど一致することがわかった。
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中出 伸一, 井本 稔
1966 年69 巻1 号 p.
100-102
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
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ジオキサン水溶液中, 硫酸触媒を用いてカルバゾールとホルムアルデヒドの反応を行なった。硫酸量の小なる時,
N-オキシメチルカルバゾールおよび
N,
N'- ジカルバジルメタンを単離し硫酸量の大なる時に樹脂状物を得た。さらに,
N,
N'- ジカルバジルメタンとホルムアルデヒドの反応をベンゼン中,
p - トルエンスルホン酸を触媒として行なった。生成物の分析よりその反応経路に再配列および付加縮合の二つの機構が含まれていることが推察された。
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中出 伸一, 井本 稔
1966 年69 巻1 号 p.
103-105
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
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ジオキサン水溶液中,硫酸触媒によるカルバゾールとホルムアルデヒドの反応の速度論的研究を行なった。反応速度式は
R=
k2(
a-
x)(
b-
x)(
H'),
H'=
H-α[Car]を得た。ここにa,bはカルバゾール初濃度,ホルムアルデヒド初濃度,Carはカルバゾール濃度, また
H は触媒濃度でありα は定数である。反応の活性化エネルギー23.1 kcal / mol を得た。
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猪川 三郎, 周藤 真詮, 鈴村 基, 山瀬 嘉明, 久津間 輝雄
1966 年69 巻1 号 p.
105-108
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
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トリオキサンにテトラブロムメタンをトリオキサンに対して0.001~1.0%添加し,蒸留するか,または加熱溶融するとトリオキサン重合物を得る。種々の条件で重合を試みた結果,トリオキサンに0.2wt%のテトラブロムメタンを混合し,85℃に10分間,ついで50℃で6時間加熱重合させると62%の収率で[η]1.5の重合物を得ることができた。また,この重合反応は,常に臭化水素の発生を伴い,窒素気流中,あるいはトルエン,水の添加で反応を行なうと重合は起こらず,同時に臭化水素の発生もなくなる。水素化カルシウム,炭酸カルシウムを添加して,この反応を行なうと,臭化水素は臭化カルシウムとなり,重合は起こらない。その他の多くの実験事実から,本重合はトリオキサンを空気中でテトラブロムメタンと加熱すると,生じる臭化水素によるカチオン重合であると推定した。
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東浦 浩, 大岩 正芳
1966 年69 巻1 号 p.
109-114
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
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アセチレンをAlEt
2Br - TiCl
4 (I) , AlEt
3 - TiCl
4 (II) またはAlEt
3 - Ti(OBu)
4 (III) を触媒として重合させ, 得られたポリアセチレンの自動酸化,臭素化および無水マレイン酸(MA)との反応を行なった。ポリアセチレンとMAの反応は赤外吸収スペクトルからDiels - Alder 反応でないことが推定された。I またはII を用いAl / Ti 比が10 以下の条件で得 たポリアセチレン(X線分析において2θ=16~18°の回折が強く,結晶性が低い)とO2,Br2およびMAとの最高反応率はアセチレン単位1 mol 当りそれぞれ0.29, 0.26, 0.28 mol であったが, III を用いるか, II を用いてAl / Ti 比が17程度に高い時に得られるポリアセチレン(2θ=23~24°の回折が強く,結晶性が高い)では最高反応率はそれぞれ0.37,0.61,0.56と高い。反応率と結晶性の関係などから前者のポリアセチレン中には後者より多くの架橋構造が含まれていることを考察した。
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松田 実, 飯野 雅, 中川 義博, 山崎 照彦, 戸倉 仁一郎
1966 年69 巻1 号 p.
115-117
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
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液体亜硫酸中のスチレンの三フッ化ホウ素エーテル錯合体によるカチオン重合でえられたポリスチレンの分子量分布の測定から,重量平均と数平均の分子量の比,
Mw/
Mn,として1.05~1.17の値をえた。実験誤差および図上計算上の誤差を考慮に入れても,液体亜硫酸中のカチオン重合でえられるポリスチレンの分子量分布は単分散に近いものと考えることができ,これより推測すると,液体亜硫酸中のスチレンのカチオン重合では
kp/
ki値が小さく,
ktは
kiおよび
kpより非常に小さいことになる。これら各素反応の速度定数値の間の大小関係は,溶媒である液体亜硫酸のアニオンに対する溶媒和力と,イオン化能の大きいことおよびプロトンに対する親和力が非常に小さいことなどによって合理的に説明することができた。
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飯野 雅, 大塚 一郎, 戸倉 仁一郎
1966 年69 巻1 号 p.
118-120
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
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流体亜硫酸(液化二酸化イオウ)中においてアゾビスイソブチロニトリルを開始剤として
p-ニトロスチレンのラジカル重合を行なった結果, スチレン,
p - ブロム,
p - メチル,
p - イソプロピルスチレンの場合と異なり, 組成比2 : 1 ( スチレン: 2 mol , 二酸化イオウ: 1 mol ) のポリスルホンは得られず, 共重合物中の二酸化イオウの割合は, 5 ~ 16 mol % であった。
スチレンを加えた三元共重合および液体亜硫酸-
p-ニトロスチレン,液体亜硫酸-スチレン混合物の紫外吸収スペクトルの測定より電荷移動錯合体が重合に関与しているかどうかについて検討した。
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安田 佳郎, 川端 成彬, 小田 敢, 鶴田 禎二
1966 年69 巻1 号 p.
121-124
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
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重合条件下におけるα, β- 不飽和カルボニル化合物と臭化
n-ブチルマグネシウム(
n - C
4H
9MgBr ) との反応生成物をガスクロマトグラフィーで調べたところ,アクリル酸メチル,メタクリル酸メチルからは,
n-ブタン,カルボニル付加物,共役付加物; メチルビニルケトン, メチルイソプロペニルケトンからは,
n - ブタン, 共役付加物; アクリロニトリル, メタクリロニトリルからは,
n-ブタン,共役付加物がそれぞれ見出された。
これら素反応の生起割合は
n-C
4H
9MgBr濃度および反応温度に影響されるが,α,β-不飽和カルボニル化合物濃度の影響はあまり受けなかった。トルエン溶液の
n-C
4H
9MgBrを使用した場合にも素反応の生起割合には明らかな差を認めることはできなかった。
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鶴田 禎二, 川端 成彬, 山本 圭作
1966 年69 巻1 号 p.
125-127
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
水素化アルミニウムリチウムと, アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルとの反応生成物を, ガスクロマトグラフィーを用いて分析した。通常の還元反応の条件下では, カルボニル基が選択的に還元されるが, 重合反応の条件下では,すなわち水素化アルミニウムリチウムの濃度が小さく,反応温度も低い場合には,炭素-炭素二重結合の還元が優先することが明らかにされた。
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松浦 一雄, 井上 祥平, 鶴田 禎二
1966 年69 巻1 号 p.
127-130
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
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α-アラニン-
N-カルボン酸無水物のD体とL体の共重合をメタノールを重合開始剤として行ない,重合率50%付近の点で反応を停止したところ,出発モノマー混合物においてより高濃度に用いた方の対掌体が出発時のD,L比よりもより多くポリマー中にとり込まれており,一方,未反応テノマー中ではその逆になっていることが見出された。このことは重合中に不斉選択の起こっていることを意味している。著者らは重合中の立体規制の原因として生長ポリマー鎖自身の不斉性をとりあげ
N-カルボン酸無水物の不斉選択重合の機構を検討した。
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青木 修三, 藤沢 一夫, 大津 隆行, 井本 稔
1966 年69 巻1 号 p.
131-134
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
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数種の置換エチレンオキシドについて塩化メチレン中,三フッ化ホウ素-ジエチルエーテラートを触媒として,3,3-ビス(クロルメチル)オキセタンとカチオン共重合を行ない,生成したメタノール不溶性の共重合体の組成より相対反応性を求めた。オキセタン生長カチオンに対するこれらオキシドの反応性は, エピクロルヒドリン< スチレンオキシド< エチレンオキシド< プロピレンオキシドであり, イソブテンオキシドは見掛上, プロピレンオキシドよりも若干低反応性であった。これらの結果について環の歪と置換基の極性効果から考察を加えた。
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松岡 公明, 竹本 喜一, 井本 稔
1966 年69 巻1 号 p.
134-137
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
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フリー
塩化ビニルとアクリルアミドとの溶液共重合を30~50℃ の温度範囲で,アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として種々の条件下で検討した結果,単量体中の塩化ビニルのモル分率の低いほど,共重合体中の塩化ビニルのモル分率は急激に低下するが,重合速度は次第に増加してくること,また重合速度は温度の上昇により著しく増加し,さらに,溶媒の種類によっても影響を受けることが見出された。同時に求めたアクリルアミド(M1)と塩化ビニル(M2)との単量体反応性比は40℃においてr
1=19.6, r
2=0の値を示した。さらに得られた共重合体については,加水分解,Hofmann反応のほか,ホルムアルデヒドとの反応を試みた。
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松岡 公明, 大塚 三千夫, 竹本 喜一, 井本 稔
1966 年69 巻1 号 p.
137-141
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
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塩化ビニルと4-ビニルピリジンおよび2-メチル-1-ビニルイミダゾールとの共重合を,アゾビスイソブチロニトリルを開始剤とし,主としてベンゼン中,40~70℃の温度範囲で行なった。その結果,共重合体中の塩化ビニルのモル比は,仕込み単量体中の塩化ビニルのモル比よりもつねに低い値を示し,また重合速度は単量体中の塩化ビニルのモル比の増加につれて減少し,温度および溶媒の種類によっても影響されることをみとめた。また各単量体の反応性比は, ベンゼン中, 60℃において4-ビニルピリジン(M
1) と, 塩化ビニル(M
2) の場合はr
1 =23.4,r
2=0.02,また2-メチル-1-ビニルイミダゾール(M
1)と塩化ビニル(M
2)の場合にはr
1=2.13,r
2=0.22ともとめられ, これよりQ, e値は4-ビニルピリジンについてQ=1.91, e=-0.51, 2- メチル4-ビニルイミダゾールについてQ=0.16,e=-0.91と得られた。
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松岡 公明, 竹本 喜一, 井本 稔
1966 年69 巻1 号 p.
142-145
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
塩化ビニル(M
2)と
N-メチロールアクリルアミド(M
1)との共重合を,アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として種々の条件下で検討した結果,単量体中の塩化ビニルのモル分率が低下するにしたがって,重合速度は急激に上昇するが,共重合体中の塩化ビニルのモル分率は,いちじるしく低下することをみとめた。60℃ジオキサン中で得られた単量体反応性比の値は, r
1=23.5, r
2=0であった。また, 重合速度は温度の上昇により, いちじるしく増加するとともに,溶媒の種類によっても影響をうけることが見出された。さらに共重合体について縮合およびエーテル化反応を試み,生成物を赤外吸収スペクトルおよび元素分析によって検討した。
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岩月 章治, 井口 昌次, 山下 雄也
1966 年69 巻1 号 p.
145-148
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
1,2-ジメトキシエチレン(DME)と無水マレイン酸(MAnh)を混合するとき,黄色の着色がみられ,かつ室温において急速に熱重合して,交互共重合体を与える。この着色をp-ジオキセン(PD)-MAnh系で行なった方法,すなわち,Continuous Variation法および(1)式により分光学的に解析した結果,組成1:1の電荷移動型分子錯合体が生成することが確認された。D ME - MAnh の錯合体の分子吸光係数ε
3 と会合平衡定数K
1 との積ε
3K
1 はPD - MAnh 系のそれに比して1.5 倍ほど大きい。この原因にはDME - MAnh 系の錯合体の方がdative bond 構造の寄与が大きいことが考えられる。DME-MAnh系が非常に熱重合しやすいことから錯合体のこの構造の関与が考えられる。DME-MAnhのラジカル交互共重合で共重合速度の最大がMAnh 60 mol % の仕込モノマー組成の所にあるが, これは使用したDMEモノマーに約10%含まれているテトラヒドロフランの重合遅延効果によるものとみられる。また見掛けの共重合の活性化エネルギーが32.8 kcal / mol と通常の場合に比して10 kcal / mol ほど大きい。この原因はAIBN 開始の外に熱開始が関与しているためと考えられる。したがってDME-MAnh系の交互共重合はPD-MAnh系,ビニルエーテル-MAnh系のそれと本質的には同じ挙動を示すものとみることができる。
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伴 弘一, 三枝 武夫, 古川 淳二
1966 年69 巻1 号 p.
148-151
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
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1,1'(1,17-エポキシジエチル)フェロセンをルイス酸触媒で処理したところ,橙黄色の重合物がえられた。室温で重合を行なうと,重合物中にエーテル結合の存在が認められるが,75℃ の重合では,エーテル結合はなくなり脱水をともなった縮合的転移反応がおこったものと思われる。またフェロセン1,1'-ジカルボン酸無水物とエピクロルヒドリンとは,共重合では溶媒にとけない黒褐色のポリエステルが生成した。
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丸茂 秀雄, 高井 誠, 松崎 靖
1966 年69 巻1 号 p.
151-154
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
イミダゾリン型両性界面活性剤Ca塩(No.433)を練込んだ高密度ポリエチレンの吹込成形によるビン容器の製造を半工業的な規模で行なって,液体合成洗剤の容器としての性能を検討した。
成形ビンの帯電防止性は表面固有抵抗,摩擦帯電圧,電荷の漏洩によってしらべたが良好と認められた。プラスチック性能は物性,表面粗度,圧縮強度,口径寸法,肉厚,変形試験,落下試験,印刷性の面で実用的に詳しく検討されたが,内部用帯電防止剤として,No.433を1.0%添加量で練込んでも悪影響は全く認められず,むしろ向上する場合もあることを知った。本報でつくったビン容器のホコリ付着については次報でくわしく検討されるはずである。
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丸茂 秀雄, 高井 誠
1966 年69 巻1 号 p.
154-158
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
プラスチックのシート,ビンなどの成形品について静電気によるホコリ付着,ならびにホコリ付着の防止における内部用帯電防止剤の効果について検討した。ポリエチレンと相溶性があり, 表面にブリード( Bleed out ) しないイミダゾリン型両性界面活性剤Ca塩では,表面固有抵抗が10
11Ω 程度に低下した場合には,ホコリ付着は著しく防止される。しかしポリエチレンと相溶性のない高級アルキルアミン酸化エチレン付加体では,表面固有抵抗は10
11Ω,またはそれ以下でも,表面のブリードがひどいため,空試験と同程度にホコリを付着して,ホコリ付着防止の効果は認められなかった。ホコリ付着は室内放置試験,実際の店頭陳列試験および人工的なホコリ(カーボン)を使用するダート.チェンバー・テストで評価されたが,相溶性のよい内部用帯電防止剤を使用する限り,ホコリ付着は表面固有抵抗,摩擦帯電圧などの帯電防止性と相関関係があり,内部用帯電防止剤がホコリ付着の防止に効果があることが確認された。
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佐藤 進, 安田 稔, 杉木 博照, 越村 雅充
1966 年69 巻1 号 p.
159-163
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
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ウレタンフォーム用ポリエーテルはグリセリンにプロピレンオキシドを付加反応してつくられるが,反応の形式上分子量の分布とジオールの発生がみられる。本報はこの点を検討するため溶剤分別による分子量分布とOHV測定分子量およびエブリオメーター分子量からジオールおよびトリオールの分布を検討した。
結果は次の通りである。
1.分子量分布はポアッソン分布よりせまい。
2.副生ジオール,不飽和物は分別試料の全体に分布している。
3.分子量分布図は分析方法でも変化するので手法も考慮する必要がある。
4.ジオールの多い試料と少い試料では次の点で異なる。
a.OHVによる分布図は大体似ているが,エブリオメーターによる分布図は平均分子量だけ山の位置がずれるし,分布の幅もジオールの多い方が広い。
b.ジオールの多い試料の分別試料のうちには,分子量,不飽和度,収量で異常な値を示す試料が存在する。以上の結果の他に,低分子量ポリエーテルの分布図等を付記した。
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佐藤 進, 斎藤 政博, 三浦 金吾
1966 年69 巻1 号 p.
164-173
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
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軟質ウレタンフォームにおいて,ポリエーテル分子量を2000から5000まで変化せしめると,圧縮強度,永久ひずみ,伸長率,抗張力,反発弾性が変化する。比重の異なった2種の発泡体(発泡水の量はそれぞれ一定)について物性と分子量の関係を研究した。その結果は次の通りである。
1)圧縮強度,伸長率は分子量大になると大きくなる。
2)永久ひずみは分子量3000で最小,3000以下でも以上でも大になる。
3)反発弾性は分子量約3500で最大。
4)抗張率はほとんど変化しない。以上を考察すると
a)圧縮強度の関係は予想外の結論で,化学的な構成要因で説明できない。そこでウレタンと尿素結合の連結を疑似架橋点と考え,真の架橋点と疑似架橋点の合計架橋効果が支配的に影響するとして説明した。
b)伸長率は架橋点間の長さが支配要因と思われる。
c)永久ひずみは架橋点効果と易動性のバランス効果比が影響すると考えた。
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橋本 春吉, 飛田 満彦, 宮野 壮太郎
1966 年69 巻1 号 p.
174
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
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フリー
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1966 年69 巻1 号 p.
A1-A10
発行日: 1966/01/05
公開日: 2011/09/02
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These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad to assist them, to form a general idea of the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors. Readers are recommended to refer to the tables, the figures, the formulae etc. in the original papers.
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