工業化学雑誌
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グアニルメラミンとホルムアルデヒドとの樹脂化反応経過と生成物の性質
倉林 正弘柳谷 康新渋谷 勲
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1966 年 69 巻 10 号 p. 1987-1993

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抄録

モノグアニルメラミンはs-トリアジン環を有する多官能性アミンでアンモニア程度の塩基性を有する。ホルマリンに溶解させると,メチロール化に続くメチレン結合ならびにメチレンエーテル結合の生成により疎水性のゲルが得られる。酸を加えると反応は遅くなり親水性のゲルが生成し,中和点においては安定な樹脂液が得られる。メチロール化物や生成樹脂の構造を研究した結果,メチロール化やメチレン結合の生成はグアニジノ基よりも側鎖アミノ基において起こりやすいことが推定された。酸を加えるとグアニジノ基はグアニジニウム塩型をとってさらに安定化するので,生成樹脂は三次元構造が発達せず,そのために親水性ゲルないしゾルの形をとるものと考えられる。
試作した成型粉のうち反応を比較的初期に止めたものは良好な成型性を有し,成型物はメラミン樹脂に近い耐水性その他の性能を示した。またゲル状に硬化したものは5meq/g程度の陰イオン交換能を示し,弱塩基性イオン交換樹脂としての実用性が示された。

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