工業化学雑誌
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オルトバナジン酸アルキル-塩化亜鉛系によるアルキレンオキシドの重合
関口 自然栗原 章
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1966 年 69 巻 10 号 p. 2002-2005

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抄録

オルトバナジン酸アルキル- 塩化亜鉛系がアルキレンオキシドの重合に活性を有することを見出したので, 本研究では主としてプロピレンオキシドを用い重合を行ない考察をした。本触媒はオルトバナジン酸アルキル(OV(OR)3)のみでは重合活性を有せず,塩化亜鉛の共存により始めて重合活性を有する。OV(OR)3のアルキル基としてEt,iso-Pr,sec-Buの3種類を調製したが,重合活性はi-Pr>Et~sec-Buの順であった。OR基の影響が強く働いているものと考えられる。OV(OPri)3-ZnCl2系による重合を詳細にしらべたが,しらべた温度範囲(30~50℃)では,温度が低い程,重合度は大きいが重合率は減少する。共存する塩化物としてAlCl3, MgCl2, SnCl2, SnCl4, ZnCl2の効果をしらべたが, ZnCl2が最も有効であることを認めた。OV(OPri)3-ZnCl2系のIRスペクトルより錯体を生成しているものと推定される。エチレンオキシドの低重合体をつくり,IRスペクトルより末端基をしらべたところ,iso-Pr基の存在を認めた。本重合は配位アニオン重合によって進むと考えられる。

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