工業化学雑誌
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ピロリン酸アンモニウムの土ジョウ中における挙動
荒井 康夫永井 彰一郎
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1966 年 69 巻 11 号 p. 2082-2087

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抄録

縮合リン酸塩の水溶液は金属イオンを錯化する特性が知られ, 土ジョウ中においてオルトリン酸塩と異なる挙動をしめすことが期待される。3種のピロリン酸アンモエウムおよび2種のオルトリン酸アンモニウムが土ジョウにおかれたときの溶解,拡散,反応の三つの挙動が観察された。供試土ジョウは粘土質火山灰土ジョウで, その主成分はアロファンである。リン酸アンモニウムを添加する前に土ジョウ中に少量の水溶性p H 指示薬を混合しておくと, リン酸アンモニウム溶液の移動を識別することができる。
高アンモニウム塩は低アンモニウム塩よりも溶解も拡散も大である。同じ原子比N / P ではピロ塩はナルト塩よりも溶解, 拡散ともに大であることが認められたが,その差は大きなものではない。リン酸アンモニウムの拡散域は過リン酸石灰の主成分であるCa(H2PO4)2・H2Oの拡散域の2~3倍のひろがりをしめす。ピロ塩もオルト塩も,土ジョウコロイドによりすみやかに固定されるが,ピロ塩との反応生成物はオルト塩のそれよりも,ペーテルマンクエン酸アンモニウム溶液や2%クエン酸溶液にたいして高い溶解率をしめす。

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