工業化学雑誌
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立方晶系窒化ホウ素の結晶生長の諸因子
久高 克也今野 煕的場 敏夫
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1966 年 69 巻 3 号 p. 365-369

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抄録

高圧高温下で触媒金属をもちいた六方晶系窒化ホウ素から立方晶系窒化ホウ素の合成について既に報告した。
本報告ではリチウムおよびマグネシウム触媒についての立方晶系窒化ホウ素の生成域を決定し,リチウム触媒による生成域はマグネシウム触媒の場合に比べ約150℃,4kbar低いことを見出した。さらに55~65kbarの範囲で六方晶系-立方晶系窒化ホウ素の平衡線は大体次式で表わされた。
p(kbar)=-3.9+0.028T(°K)
この範囲では立方晶系窒化ホウ素はダイヤモンドに比べ熱的に300~400℃安定である。
X線解析の結果,リチウムおよびマグネシウム触媒による立方晶系窒化ホウ素の合成結晶はいずれも不純物として,少量の窒素原子を含むと思われる正方晶のホウ素が見出され,また,マグネシウム触媒の場合には酸化マグネシウムが含まれることを見出した。
合成結晶の顕微鏡観察によると,一般に平衡線の近くでは比較的大きな結晶(平均粒径0.2mm)が得られるが,リチウム触媒による場合はマグネシウム触媒による場合に比べ結晶性の高い結晶が得られた。生成域内の低温側では,リチウム触媒の場合,生長stepの高い(0.1~2μ)結晶が得られるが,マグネシウム触媒の場合,円形の腐蝕孔のみられる結晶が生成されるのが特徴である。また一般に平衡線から遠い高圧の条件では平滑な表面をもつ微結晶(平均粒径0.1mm)が得られた。

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