工業化学雑誌
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14Cおよび3Hによるトルエンの熱分解反応の研究
竹内 豊三郎手塚 昌郷山形 良男
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1966 年 69 巻 5 号 p. 958-962

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抄録

トルエン- 1 - 14C (I) およびトリチウムガス気流中(II) における通常のトルエンの熱分解を800 ~ 1100℃ の温度範囲で行ない, 主にガス状生成物中における14C および3H の分布をしらべた。その結果, (I) では, 800℃ でもとのトルエンのcpm / molにくらべメタンの値は約1/20 で, C2 化合物の値は約2 倍であった。また, 1000℃ では生成物のグラム原子当りのcpm がすべて相等しくなった。(II) では, 800℃ においてメタンとベンゼンのcpm/ mol はおおよそ同じで, C2 化合物はもとのトリチウムの約2 倍であった。また, 900 ~ 1100℃ の温度範囲でメタン対ベンゼンのモル当りのcpm の比は1:6 であった。以上のことから, 800℃ ではメタンはメチル基から, またC2 化合物の炭素はトルエンの1 の位置の炭素から作られること, 高温では初期にベンジルラジカルを経てトロピリウムラジカルができ,その逆反応により1の位置にあった14Cが均等に分布されること,およびベンゼン中の水素はその構造をとる以前に共存する水素分子と交換を行なうことを推定した。

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