工業化学雑誌
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四塩化スズを触媒とする環状エーテルの単独開環反応速度と競争開環反応速度の関係
酒井 鎮美野 静昭石井 義郎
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1966 年 69 巻 6 号 p. 1211-1214

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抄録
二塩化エチレン中,四塩化スズを触媒とする環状エーテルの競争反応速度RCを測定し,下記の反応性の序列を得た。
トリメチレンオキシド>2,3-エポキシブタン>プロピレンオキシド>3,3-ビス(クロルメチル)オキセタン>エピクロルヒドリン>2-メチルテトラヒドロフラン>テトラヒドロフラン>2-クロルメチルテトラヒドロフラン>テトラヒドロピラン
この反応性の序列は環状エーテルの塩基性,単独開環反応性,あるいは環歪の序列では説明できず,この反応がアシリウムイオンよりオキソニウムイオンを生成する平衡過程KA およびオキソニウムイオンのSN 2 開環反応速度過程kA よりなり, KA は環状エーテルの塩基性Kbに比例し,kAは単独開環反応速度RHに比例すると仮定して誘導した式(a)で環状エーテルの競争反応性と塩基性および単独開環反応性の関係を示した。
logRC=a{logRP-b(ΔpKb)} (a)
また,四塩化炭素中の競争反応性の序列は二塩化エチレン溶媒の場合と同じであるが,エーテルの種類による競争反応性の差は前者の方が小となった。
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