種々のゴムに対する示差熱分析について研究した結果,充てん法としてこまかく切った試料ゴムをα-アルミナと混合し,試料セルの最底部に充てんし,その上をα-アルミナで覆う方法,すなわちミックスボトム法を採用すると再現性よく分析できることを知った。α-アルミナを混合しないと,測定中にゴムが軟化して集合し,酸化反応が順調に進行せず,加硫と未加硫ゴムとで示差熱曲線が同じように現われない。また,上部をα-アルミナで覆わないと,分解ガスの発生に基因する小さい波が現われ,ピークの形が乱れてくる。ミックスボトム法を用いて種々のゴムを分析した結果,原料ゴムと加硫ゴムとは大体類似の示差熱曲線を示 。ブタジエン系ゴムでは明らかな発熱反応が窒素中でも認められるが,天然ゴム,ブチルゴムなどでは吸熱分解を起こす。その他のゴムもそれぞれ特徴あるピークを示すものが多いので,空気中と窒素中の示差熱曲線を比較検討すると,ゴムの種類をかなり推定することができる。
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