工業化学雑誌
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ヘキサクロルブタジエンの加圧塩素化反応
篠田 清徳渡辺 弘道
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1967 年 70 巻 12 号 p. 2262-2267

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抄録

ステンレス製オートクレーブを用い,ヘキサクロルブタジェンおよび塩素を充てんし,回分式反応をおこなった。ヘキサクロルブタジエンに対する塩素のモル比が大きくなったり,反応温度が高くなると反応速度は大きくなり,生成物にヘキサクロルエタンが多くなった。反応圧はヘキサクロルブタジエンの塩素付加物の生成とともに急激に降下し,さらにテトラクロルエチレンやヘキサクロルエタンヘの二次的分解反応のため上昇し, それにつついてゆっくりと上昇傾向をたどった。10l規模の反応では温度が高くなると発生する反応熱にみあった除熱をおこなうことができず,反応温度を一定に保つことができなかった。
ついで, あらかじめヘキサクロルブタジエンを充てんし, 反応圧力を一定に保ちながら塩素をガス状で供給し, 半回分方式でヘキサクロルブタジエンの加圧塩素化をおこなった結果,反応速度を容易に調節することができた。反応は反応器が小さい場合は接触作用のある鉄およびニッケル壁面で進行し,大型の場合は0.02~0.1重量%の塩化鉄を添加すると円滑に進行した。
低級炭化水素の熱塩素化分解反応で四塩化炭素やテトラクロルエチレンを製造するさい副生する高沸点液状生成物も純粋のヘキサクロルブタジエンとほぼ同様に加圧塩素化をうけるので,精製することなく原料とすることができる。
反応速度はヘキサクロルブタジエンおよび塩素のそれぞれの濃度の1 次に比例する2 次式で示すことができ, 速度定数はk =1.43×1014e-28,100RT(hr)-1(mol%)-1で表わすことができた。また相対速度定数を用いた各誘導体の組成分布曲線は実測値とよく一致した。

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