工業化学雑誌
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炭素-カオリン-シリカ系複合焼結体の抵抗温度特性
加藤 悦朗長谷川 勝
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1967 年 70 巻 3 号 p. 252-260

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抄録

加えた過剰シリカの転移の挙動により, 炭素系複合焼結体の抵抗温度特性を変えることを検討した。焼結体の抵抗温度特性は, 焼結体中に生成または残存するクリストバライトの(およびわずかの程度でトリジマイトの)高低型転移により起こる異常熱膨張と密接に対応し,抵抗温度係数はこの熱膨張の程度によって0に接近またはさらに正に変化する。焼成温度は, クリストバライト含有量の変化および結晶の不完全性の程度の変化によって, 熱膨張と同様抵抗温度特性に影響する。一般に焼結体の比抵抗値の高いほど, この転移の影響は大きく現われる。またこの影響は, サーマルブラックのような, 粒径が大きく,“ストラクチャー”のない炭素を用いた場合顕著であり, とくに熱膨張係数の小さいガラス状カーボンの粉末を用いた場合に最も顕著で, 200℃の抵抗が常温の約10倍にも達するものが得られた。加熱冷却におけるこれらの抵抗温度変化曲線は, 転移に関係する明瞭なヒステリシスループを描く。

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