工業化学雑誌
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酸化チタンの光電導性にあたえる不純物ドープの影響
飯田 武揚野崎 弘
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1967 年 70 巻 8 号 p. 1285-1287

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抄録
四塩化チタンの加水分解から得られたルチル型酸化チタンに各種の金属の硝酸塩を加えて1000℃ で空気中で2時間焼成したのち急冷して不純物をドープし,その暗電導性と光電導性の変化を直流伝導度測定法で調べた。その結果酸化チタンの光電導性と暗電導性は0.01mol%の不純物ドープによってかなり大きく変化し,3価以下の不純物はアクセプターとして働き,酸化チタン(n型)の暗電導性を下げるが,光電導性に著しい影響は与えない。一方5価以上の不純物はドナーとして働き,暗電導性を著しく上げるが,光電導性の感度はあまり向上させない。これらの不純物の中でも遷移金属の電子配列をもつ金属酸化物の不純物は酸化チタンを着色し,暗電導性を下げるが,光電導性を著しく減少して電子正孔の再結合中心として働く。さらにこれらの不純物のドープ量を変化させた結果,暗電導性は一般に0.1mol%のドープ量あたりから飽和現象を示すが,光電導性は0.07~0.1mol%のあたりで極大をとり,ドープ量の適量があることがわかった。
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