工業化学雑誌
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リン鉱に対するカセイソーダの作用
金沢 孝文門間 英毅武藤 正勝
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1968 年 71 巻 10 号 p. 1607-1610

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抄録

特定のリン鉱( フロリダ鉱) の物理的, 化学的諸性質を明らかにする研究の一部として, その性状におよぼすカセイソーダの作用をしらべた。
生鉱とカセイソーダ所定量とを湿式混合したものの100℃ 乾燥物, およびそれの1000~1350℃ 焼成物を主に供試した。これらの試料についてX 線回折による鉱物組成, 粒度, フッ素含量, リン・フッ素の溶解性などを検討した。
カセイソーダの高温(1000℃ 以上) における作用は顕著で, リン鉱粒子の, より程度の大きい焼結がみられ, 同時に高ク溶性のレナニット系化合物を生成した。しかしカセイソーダ添加量が少ない範囲では, リン鉱粒子の焼結による硬質化のために, かえってリンのクエン酸溶解率は減少した。リン鉱中のフッ素はソーダ分に基因する吸収をうけることが確認された。フッ素の水溶性はカセイソーダ添加量の増加とともに上昇した。一方低温(100℃ ) における変化はそれほど明瞭ではなかった。すなわちリンの水溶率はカセイソーダ添加量によってほとんど変化しない。フッ素の水溶率は添加量が多くなるほど,またリン鉱粒子の水中分散性およぴリンのクエン酸溶解性は微量のカセイソーダの存在によって, ともに若干上昇することがわかった。

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