工業化学雑誌
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異相間無秩序混合系の伝播的性質に関する直線則と指数則
中村 哲朗佐多 敏之
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1968 年 71 巻 11 号 p. 1798-1806

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抄録

成分相の開放性と包含性の二面から多相間無秩序混合系の分布様式を整理し,これらに関する流束の迂回性と直進性とを強調した2通りのモデルにおいて,おのおの断面内および長さ方向の成分相の無秩序分布を多項分布で表現した。
2相の無秩序系において,流束の完全迂回性に対するモデル(断面素片の直列結合)による伝播率の計算結果は,多孔性固体の熱および電気伝導率や強誘電体の誘電率に関する直線則を導き,エマルジョン系での転相に伴う電導率のとびを説明し,電導の活性化エネルギーが分散媒固有のものであることを示した。一方,直進性に対するモデル(長さ素片の並列結合)による計算結果は多孔性固体の光やγ線の透過率に関する指数則を説明した。
一般に媒質Bの中で流束の伝播が,,バンド電子や格子フォノンまた強誘電的相互作用などを媒介にして起こる場合は,流束間相互作用が強大なため分散している障害物A を完全に迂回して伝播し, その伝播率はA の体積分率に比例的に減少するが, B がA の中に分散した場合には,流束間の強力な相互作用が切断されるため,流束の伝播は直進的となり,その伝播率はAの体績分率について指数的に減少することが予測される。

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