工業化学雑誌
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磁性塗料のレオロジー特性
渡辺 昭太郎
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1968 年 71 巻 11 号 p. 1806-1813

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抄録

水酸化第一鉄コロイド溶液を空気酸化して得られるレピドクロサイト(γ-FeOOH)を,加熱脱水して生成したγ-酸化第二鉄を含有する磁性塗料のレオロジー特性を,回転粘度計および強制振動型二重円筒レオメーターを用いて検討した。あわせて一般に磁気録音テープに使用されている型のγ-酸化第二鉄についても検討した。
両磁性塗料は構造粘性を有するためにそのレオロジー特性は著しい経時変化を示す。レピドクロサイトを加熱脱水して得たγ-酸化第二鉄は分散性がきわめて良好で,これをニュートン流動を示すバインダー溶液中に分散した磁性塗料は,温度が低いほど,磁性粉濃度が小さいほどCassonの式への適合性が良い。平衡降伏値は,経過時間が短いほど,濃度が低いほど,磁性粉濃度が小さいほど小さくなる。平衡粘度の経時変化には極大値が存在することおよび平衡粘度の温度変化から求めた活性化エネルギーは,バインダー溶液の場合8.1kcal/mol,磁性塗料の場合2.8kcal/molで, 磁性塗料の場合に小さくなることを認めた。
磁性塗料の好ましいレオロジー特性として,経時変化が少ないこと,粘度計の指示値がすみやかに平衡に達すること,平衡降伏値が小さいことおよび平衡粘度が大きいことを推論した。

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