工業化学雑誌
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o-, p-ジオキシベンゼンおよびその誘導体のロ紙電気泳動
宮川 俊夫
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1968 年 71 巻 2 号 p. 213-217

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抄録

o-, p-ジオキシベンゼンおよびその誘導体は,銀塩写真の現像主薬として利用されるが,これらの化合物が現像液中で持つ電荷および亜硫酸イオンの影響をしらべるため,4種類の化合物をえらんでそのおのおのにつき,ロ紙電気泳動を行なった。
pH3~11の範囲で変化を与えた緩衝溶液を含浸させたロ紙上に,試料水溶液,または試料と亜硫酸ナトリウムを含む水溶液を滴下し,8.6v/cmで2時間泳動後,アンモニア性硝酸銀溶液で発色させたが,泳動距離についてロ紙の電気浸透に対する補正を行なったのち,泳動度を算出した。
a.試料水溶液pH3~11でいずれも水素イオンを電離し,負の泳動によってアニオン的行動を示した。
b.試料と亜硫酸ナトリウムを含む水溶液o-, p-ジオキシベンゼン,1,4-ジオキシ-2-クロルベンゼンでは,比較的高pH域で,また1,2,3-トリオキシベンゼンでは,pH3~11で,それぞれ大小二つのスポットを生じた。すなわち,試料の大部分(第1スポット)は亜硫酸ナトリウムの影響を受けないが,一部分(第2スポット)はかなりへだたって大きな負の泳動度を示した。の第2スポットの紫外吸光測定結果から,試料の一部分が空気酸化の影響下に泳動中徐々にスルホン化され,結合したスルホン基の電離により,アニオン的傾向がさらに強められたものとみなすことができる。

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