工業化学雑誌
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ベンジルアルコールによるフリーデルークラフツ反応( その2 )
柘植 乙彦田代 昌士鳥井 昭美
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1968 年 71 巻 2 号 p. 229-232

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抄録

AlCl3-CH3NO2触媒下のBzyOHによるベンジル化反応を種々の条件下に検討した。本べンジル化反応はBzyOHおよび芳香族成分に関して,それぞれ1次に依存することを明らかにした。また,収率よくDPMを得るにはBzyOHに対して0.9mol以上の触媒量が必要であった。AlCl3-CH3NO2,-C2H5NO2および-C3H7NO2系触媒下のべンジル化反応では,ニトロアルカンの量がDPMの収率に大きく影響し,ニトロアルカン量が多いほど収率がよく,AlCl3に対して約70mol以上で収率はほぼ一定となった。このようなニトロアルカンの効果はBzyOHによるベンジル化に特有なもので,この特異な効果はつぎの順序に減少した。
ニトロメタン>ニトロエタン>ニトロプロパン
一方,アセトニトリルはニトロアルカンと逆の効果を現わし,アセトニトリル量の増加とともにDPMの収率は低下する。
ベンゼンとトルエン,およびベンゼンとクロルベンゼン系の競争ベンジル化反応の結果から,分子内(Sf)および分子間選択性(kR/kB)を求め,反応種の活性について考察し,反応種の活性の評価には分子間選択性から行なう方が妥当でおることを示した。また,BzyOHとp-Me-BzyOH,BzyOHとp-Cl-BzyOH系による競争ベンジル化を検討し,AlCl3-CH3NO2触媒下では,p-Me-BzyOHの反応性はBzyOHの約1.5倍,p-Cl-BzyOHはBzyOHとほぼ等しい反応性を示すことを明らかにした。

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