工業化学雑誌
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水素化コバルトコンプレックス- フェノ一ル類混合系による1 , 4 - ジエンの合成
岩本 昌夫柚口 貞夫
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1968 年 71 巻 2 号 p. 233-236

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抄録

水素化コバルト・ジ第三級ホスフィンコプレックスは,それだけを脂肪族あるいは芳香族炭化水素溶媒中で用いたのでは,ブタジエンとエチレンとからの1,4-ヘキサジエンの合成に接触効果を示さないが,フェノールあるいはその誘導体を共存させると活性になる。p-クロルフェノール,2,4-ジクロルフェノールおよび2,4,5-トクロルフェノールなどのハロゲン置換フェノール類が活性化に特に有効であった。フェノール類はコバルトに対して50~100倍モルが十分な活性を発揮するために必要であり,これはコバルトコンプレックスが溶解することとある程度関係していることを示唆する。しかしながら,フェノール類の本質的な役割は,水素化コバルト・ジ第三級ホスフィンコンプレックスを配位的に不飽和な状態に活性化することにあると考えられる。
フェノール類の存在で,塩化コバルト・ジ第三級ホスフィンコンプレックスを水素化アルミニウムリチウムで還元して,反応系内で水素化コバルト・ジ第三級ホスフィンコンプレックスを生成させる方法は,1,4-ジエンの実験室合成法として用いることができる
。0価のコバルト・ジ第三級ホスフィンコンプレックスも同じようにフェノール類によって活性化され,1,4-ジエンの合成を選択的に接触することができる。

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