工業化学雑誌
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AlEt2OCH2CH2NH2-VOCl3系触媒による塩化ビニルの重合
東 広巳浪川 茂夫渡部 一之高橋 昭雄
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1968 年 71 巻 8 号 p. 1246-1250

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抄録

AlEt2OCH2CH2NH2とVOCl3との組合せ触媒系を用い,30℃で塩化ビニルの無溶媒重合を行なった。重合触媒の活性はAl/Vモル比を1から3まで増加させるにしたがって増加したが,それ以上から10.5まで増加させると変化しないか,やや減少した。生成ポリマーの平均重合度(DP)はAl/Vモル比の増加にともなって減少し,Al/Vモル比10.5では500になった。生成ポリマーのシンジオタクティシティおよが塩素の含有量はAl/Vモル比の変化によってはほとんど影響されなかった。ポリマーのシンジオタクティシティは,同じ触媒系を用い,-20℃で得られたポリマーのそれと大差はなかった。重合開始後3時間までは,ポリマーの生成量は増加し,これにともなって生成ポリマーのDPも増加した。重合反応系ヘカルボニル化合物を添加しても重合触媒の活性や生成ポリマーの諸性質に対してはほとんど影響がみとめられないが,重合溶媒として多量に用いると,ポリマーの収率はきわめて減少し,VOCl3のかわりにTiCl4を用いた場合も触媒の最大活性はAl/Tiモル比3~5にみとめられた。
塩化ビニルと極性ビニルモノマーとの共重合反応についても若干試みた。さらに,AlEt2OCH2CH2NH2とVOCl3との反応およびその生成物についても若干の議論を行なった。

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