白金作用電極上に可視光を照射しながらチオニンの定電位電解を行なった。0.1NKCI水溶液に溶かしたチオニンは,-0.2から約+1.0V(vs.SCE)の電位で電解しても電解されず,また還元剤を含まなければ,チオニンの0.1NKCI水溶液に単に可視光を照射しただけでは,還元も退色もほとんど起こらない。しかし光照射しながら定電位電解を行なうと,チオニンが徐々に退色されることがわかった。さらに,このチオニンの退色は,一部は無色のリューコチオニンへの還元によるものであり,一部は酸化によって無色の物質に変わるためであり,後者が主要な退色過程であることが明らかとなった。これらの結果から,電極で反応しているのは励起状態のチオニンであり,しかも,電極表面で励起したチオニンのあるものは酸化され,あるものは還元される。すなわち,電極での励起分子の酸化と還元が同時に起こっていると結論される。
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