工業化学雑誌
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TiO2半導体電極における光増感電解酸化
藤嶋 昭本多 健一菊池 真一
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1969 年 72 巻 1 号 p. 108-113

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抄録

n型半導体であるTiO2(ルチル)を電極に用いて分極挙動を測定した。光照射しない時にはカソード分極下で水素発生が起こるが,アノード分極下ではほとんど電解電流が流れず顕著な電解整流作用を示した。TiO2電極表面に光照射すると,カソード電流は変化しないがアノード電流は著しく増加する。この電流はTiO2のバンドギァプ3.0eVに相当する415mμ以下の波長の光によってのみ生じ,また電流の大きさは光強度に比例する。立ち上り電位はpH4.7では-0.5V(vs.SCE)である。この電解酸化反応は従来n型半導体で報告されている電極自身の溶解反応ではなくて,水の電解による酸素の発生であることを確かめた。このことはいわゆる平衡電位より約1V以上も卑な電位で酸素発生がおこる“光増感電解酸化”であり,光のエネルギーを半導体が吸収したためである。またI-のI2への酸化も平衡電位より卑で起こることを確かめた。機構については半導体のバンドモデルから考察した。

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