工業化学雑誌
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メチルビオロゲン酸化還元系を用いた光電池
神谷 信行大河 原信
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1969 年 72 巻 1 号 p. 96-100

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抄録
メチルピオロゲン(MV)の酸化還元反応を電池のアノード反応に応用した光電池を製作し,その電池特性を調べた。MVは可視光を吸収しないが,適当な増感色素の共存下で還元が行なわれ,還元MVによる高い起電力が得られた。増感色素(D)としてはメチレソブルー(MB),リポフラピン(Rf)およびプロフラピン(Pf)を使用した。還元剤としてトリエタノールアミン(TEA)を用い,MV-D-TEAの系に光照射を行ない,アノード電位,アノード分極を記録した。MV-MB系ではアノード電位変化は小さく,MVは還元されていない。MV-Rf系では光照射によりRfは還元され,また還元Rfによって還元されたと思われる還元型MVのスペクトルが得られた。しかしアノード特性はMVの存在しない場合とほとんど同じであった。MV-Pf系では電位変化,最大電流値ともに大きな値が得られた。MV-Pf系についてさらにくわしく検討した。溶液のpH依存性を調べた結果,1.5時間光照射後のアノード電位変化,最大電流値ともpH9で最大になることが示された(MV,Pf,TEAの濃度はそれぞれ10-3,10-4,10-1mol/l,アノード電位-660mv対SCEおよび最大電流値220μA/cm2)。MC-キノン系試作光電池では開路電圧58m V,短絡時電流密度16.4μA/cm2という値が得られた。
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