1969 年 72 巻 2 号 p. 589-593
オレイン酸ナトリウムコロイド水溶液の50±0.1℃,pH9における自動酸化について,コバルトイオン濃度およびナレイン酸濃度の影響を検討した。この実験を基礎として10-4mol/lの塩化コバルトを含む2/3×10-2mol/lのオレイン酸ナトリウムコロイド水溶液をpH9,50±0.2℃で10時間または26時間酸化した。この酸化混合物を弱酸性でエーテル抽出してからメチルエステル化し,シリカゲル,メタノール-ベンゼンを用いる分配クロマトグラフィーを行ない6区分に分けた。オレイン酸とオレイン酸メチルについても,無触媒,50±0.2℃,液層1mm厚で50日間自動酸化を行ない同様に処理した。これら酸化生成物についてIR,UV,NMR吸収スペクトル,化学的挙動,過酸化物価,分子量などを測定して生成物の性状について検討した。酸化物としてはヒドロペルオキシドのほか,環状過酸化物,ケトンおよびヒドロキシ化合物等をみとめた。オレイン酸とオレイン酸ナトリウムコロイド水溶液との自動酸化は,ほぼ同じ生成物を与え,エステル化処理によって副反応としてヒドロペルオキシドのメチルエーテル化が起こることを明らかにした。
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