工業化学雑誌
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カチオン交換樹脂を触媒とする酢酸メチルの加水分解反応
中村 昭一
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1969 年 72 巻 3 号 p. 626-630

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抄録

カチオン交換樹脂を触媒として用いる酢酸メチルの加水分解反応の速度は,従来希薄水溶液の場合について研究され,原料濃度の1次に比例する速度式で表わされることが報告されてきた。著者は比較的濃厚な水溶液(濃度9~50mol%)の場合について検討したところ,1次式ではなく次の2次可逆反応速度式がよく適用されることを認めた。
r=Kc/V2(nAnB-nCnD/Kc)。
ここに記号はγ:反応:速度(mol/l・hr),Kc:反応速度定数(l/ml・hr),V:反応液容積(l),nA:反応液中の酢酸メチルのモル数(mol),nB:反応液中の水のモル数(mol),nc:反応液中の酢酸のモル数(mol),nD:反応液中のメタノールのモル数(mol),
Kc:平衡定数
つぎに触媒を充填した固定層をつくり,流速0.016~0.59cm/secの範囲で固液系の流通式反応を行なったところ,上記速度式に押し出し流れを仮定して積分した積分型反応速度式によって実験結果をよく整理できることが認められた。
さらに本反応の平衡定数は40~60℃において温度にほとんど影響されず,およそ0.20であることが求められた。

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