抄録
P-フェニレンジアミン水溶液中に鉄キレート存在下で酸素を吹込むと酸化的重合が起こり,黒色のポリアゾフェニレンを生成する。これは溶媒難溶性で300℃(真空中)でも熔融しない。可視スベクトルのλmaxは450~490mμであり,常磁性および半導性を有し,ESRはHΔmsl=7gaussのシングレットの吸収を示し,板状に圧縮成型(3ton/cm2)した試料の電導度は10-10~10-13Ω・cm-1である。酸化還元性を有し,Na2S2O4水溶液により速やかに還元されて淡黄色溶液となり,空気中で徐々に酸化されて黒色に戻る。
O-フェニレンジアミンはP-異性体とは異なり,アゾ連鎖は得られず,フェナジン構造の黄褐色重合体を与える。