シュウ酸ナトリウムを石灰によりシュウ酸カルシウムに転化させる際の反応は,Ca2+の生成が律速であり低温(室温)反応で行なうことが好ましい。すなわち高純度のシュウ酸,高カセイ化率を目標とした場合は一般に行なわれている70~80℃の反応より低温度で反応させる方が効果的であり,シュウ酸ナトリウムの10%スラリーの反応では,反応条件82℃,2時間でカセイ化率89.1%に対し,15℃,2時間では98.6%に達した。高濃度スラリーでは,この傾向が特に著しい。
カセイ化に用いる生石灰の量は,高温反応では低温反応に比べ30%以上の過剰量を必要とする。また生石灰を消和する場合,熱湯で処理したものは水で処理したものに比べカセィ化能力が大きい。低温反応により生成するシュウ酸カルシウムと高温反応により生成するシュウ酸カルシウムの粒子は,いずれも径20~30μの集団で工業的ロ過工程の操作には差はないと考えられる。
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