抄録
光学対掌体同志の溶液内相互作用と分割過程の解析から, 分別結晶法による光学分割の操作条件の合理的な選定の基準につき考察した。溶液内の両活性体の相互作用度f をラセミ体と活性体との溶解度比を2 で割った値で表わす。分別結晶法によって理想的に分割が進行している場合の分割母液組成はf = 1 の線に沿って変化する。分割が良好に行なわれるか否かはその分割母液の安定性如何にかかっている。これらの考察の結果f ≦ 1 の場合にはラセミ体の過飽和溶液に一方の活性体の種晶を接種し, 該結晶のみを生長せしめる分割法が可能である。f > 1 の場合にはラセミ体の飽和溶液に両活性体の種晶を接種し, 徐々に両活性体の成長速度に合わせて過飽和にする方法を採用するのが良い。