工業化学雑誌
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塩化パラジウム系触媒を用いるオレフィンとホルムアルデヒドとの縮合反応
川嶋 右次酒井 鎮美高橋 康隆石井 義郎
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1969 年 72 巻 8 号 p. 1715-1719

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抄録

C3~C16の各種のオレフィン塩化パラジウム錯体を合成し,ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒド)とベンゼン中50℃で反応させることにより,1,3-ジオキサンが好収率で生成することを見出した。この結果をさらに検討し,塩化パラジウム-塩化第二銅を触媒として用い,C3~C16のオレフィンとホルムアルデヒド(ホルマリン)とを反応させることにより,1-ブテン,cis-2-ブテン,trans-2-ブテン,インブテン,3-メチル-1-ブテン,2-メチル-1-ペンテン,2,4,4-トリメチル-1-ペンテンの場合にそれぞれ相当する1,3-ジオキサンが生成するが,プロピレンおよび長鎖1-オレフィンは反応性が著るしく劣ることがわかった。特にイソブテン,3-メチル-1-ブテン,2-メチル-1-ペンテン等分枝オレフィンの場合には,ジオキサン生成の選択率,収率ともに良好で,酸触媒を用いる通常のPrins反応よりも選択率が高く,これら3種のオレフィンに対する収率および選択率はそれぞれ67%,74%,41%;93%,90%,90%である。また反応中にオレフィンの異性化が起こり,生成する1,3-ジオキサンは異性化したオレフィンのPrins反応生成物であった。

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