1969 年 72 巻 8 号 p. 1720-1723
Ziegler触媒(TiCl4-AlEt3,TiCl4-AlEt2Cl)中の金属-エチル結合へのシクロヘキセンの挿入反応について研究した。挿入反応によって生成した金属-エチルシクロヘキシル結合のメタノール分解によって得られるエチルシクロヘキサンの生成量へ与える触媒調製の諸条件が及ぼす影響について検討した。反応温度0℃,20℃ではAl/Tiモル比0.5付近でエチルシクロヘキサン生成量は最大になり,Al/Tiモル比が大きくなるとエチルシクロヘキサン生成量は減少し,Al/Tiモル比2.0付近で再び生成量の極大値を示すことが明らかになった。一方40℃の反応ではAl/Tiモル比0.5で最大を示し,Al/Tiモル比の増加とともにエチルシクロヘキサン生成量は減少した。Al/Tiモル比1.0以下では2-および3-エチルシクロヘキセンが得られ,これらは4価のチタン-エチル結合ヘシクロヘキセンが挿入され,4価のチタン-アルキル結合が不安定なために水素移動が容易に起り生成してくるものと結論された。
挿入反応の速度論的取り扱いを行ない見掛けの活性化エネルギー15.3kcal/mo1を得た。
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