工業化学雑誌
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多孔性イオン交換樹脂触媒によるエチレンと酢酸の気相反応速度
村上 雄一服部 達彦内田 〓
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1969 年 72 巻 9 号 p. 1949-1953

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抄録

多孔性イオン交換樹脂Amberlyst15を触媒とし,エチレンと酢酸から酢酸エチル生成反応を転化率の小さい微分反応の条件で行なった。エチレン,酢酸,酢酸エチルの分圧をそれぞれ独立に変えて酢酸エチル生成速度を測定した結果,吸着したエチレンと吸着した酢酸の表面反応を律速段階として導いた式によく適合した。酢酸エチルの反応促進効果を含めて,これを実測値にもっともよく適合する積分反応速度式に拡張し,次式を得た。
r=kKAKE(a√PR+b)(PAPE-PR/K)/(1+KAPA)2
140℃でkKE=0.932(mol/l触媒・atm・hr),KA=8.94(atm-1),K=1.6,a=15.90,b=0.019,活性化エネルギー25.6kcal/mol,酢酸の吸着熱8.96kcal/mo1である。水,シクロヘキサン中でn-ブチルアミン滴定によって触媒の酸性度を測定し,エチレン吸着に対する酢酸,酢酸エチル,水の影響をパルスクロマトグラフィーで調べた。これらの結果から多孔性イオン交換樹脂触媒が他の触媒に比べてこの反応に対する活性が高い理由および酢酸と水の反応抑制作用と酢酸エチルの促進作用について考察した。

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