工業化学雑誌
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各種石炭化度炭の抽出物の抽出量および分子量
大沢 祥拡石 栄〓角田 鉄之助藤代 稔
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1970 年 73 巻 10 号 p. 2212-2218

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抄録

石炭化度の異なる代表的試料(72.7~93.2%C)についての総合的研究の一環として,日本炭12炭種,外国炭5炭種につき,Wheeler法によってα,β,γ の3成分に分別し,各成分の抽出量ならびに蒸気圧平衡法による分子量を測定し,試料原炭の炭素含有量および脂肪族CH水素などとの関係について検討した。なおβ+γ 成分の抽出量,分子量について統計的解析法を適用した。
β+γ 成分の抽出量,γ 成分の抽出量は石炭化度が増すにつれて増加し,86~87%Cの石炭で最高となり,さらに石炭化度が増加するにつれて急激な減少を示した。一般に日本炭の方が外国炭よりもβ+γ 成分の抽出量が多く,抽出量は統計的解析法によって求めた溶解度変数と関連することが認められた。
β+γ 成分の分子量は460~1200程度であり,86~87%Cの石炭で最高となり,それ以後は石炭化度の増加につれて小さくなり,かつ統計的解析法によると,抽出物の単位構造当りの分子量は260~480程度の値を示した。γ成分の分子量は350~810程度であり,試料炭の脂肪族CH水素の多いほど分子量の大きいことがわかった。またβ 成分の分子量は,各成分間に加成性が成立つものとして推定値を算出した。

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