工業化学雑誌
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混合油性汚垢の各成分の洗浄性
米田 義章美濃 順亮井上 恵雄
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1970 年 73 巻 10 号 p. 2205-2211

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抄録

繊維布の洗浄について,繊維の織り組織の影響と繊維基質の影響との関連を調べた。その結果,織り組織の密度はかならずしも,洗浄性と関係しないで,むしろ,繊維基質を反映する二次的な作用としての働きをもつことがわかった。さらに,木綿,ナイロン,ポリエステル,ウール,ポリプロピレンの5種類の繊維布にn-オクタデカン,トリオレイン,パルミチン酸,オレイン酸,スクワレンの単独,2成分,または3成分混合汚垢を付着させ,これらの各成分の洗浄性について検討した。
2成分混合汚垢では,汚垢を混合することによって,脱脂率が正の相互作用をする場合と,負の相互作用をする場合と,直線的に変化する場合がある。また,洗浄後の繊維布に残留する汚垢組成は,特定成分が残留濃縮される場合と,洗浄前洗浄後の汚垢組成の比率があまり変化しない場合がある。これらの傾向は繊維の種類によっても異なるが,一般にパルミチン酸は優先的に洗浄され,トリオレインが残留濃縮される場合が多い。3成分混合汚垢では,混合汚垢組成,繊維の種類によって,各汚垢成分の洗浄性は異なる。たとえば,オレイン酸-トリオレイン-n-オクタデカン混合汚垢を各種の繊維布に付着した場合のトリオレインの洗浄性は,ナイロン≒ ポリエステル>ポリプロピレン>木綿>ウールの順に低下する。しかし,パルミチン酸-トリオレイン-スクワレン混合汚垢を付着した場合のトリオレインの洗浄性は,ウール≒ ナイロン>木綿≒ ポリエステル>ポリプロピレンの順になる

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